農業の事業承継
今年度も、残すところあと1ヵ月。
今年度もいろんな会社のお仕事をさせていただきましたが、農業の経営支援も結構やらせていただいています。
ここで感じているのが、農業、特に稲作農業の事業承継の難しさです。
もちろん農地法なども法的な問題もあります。
でもそれより、農業特有の地域と慣習への向き合い方の難しさがあると感じます。
営農組合というしくみ
農家の人でも、特に兼業農家の場合は跡を継がせようと思う親はなかなかいません。
そうなると、先祖代々の田んぼの世話ができません。
今は地域が共同で農業を営む営農組合の形にしているところが多くなっています。
こうした形にすれば、自分の家で農業ができなくなっても、その田んぼを営農組合に貸して地域の人達で米を作ってもらい、貸した分のお金を毎年受け取ることができます。
営農組合は、借りる土地はどんどん広がっていくのに、農業をやれる人はどんどん少なくなっている状況と言えます。
でも、実はお米って、かなり機械化が進んでいて、無農薬などにこだわらなければ、あんまり手がかからないんです。
農地が広いならなおさら、田植え機で苗を植えて、ドローンで農薬散布、コンバインで刈り取れば、人が細かい作業をすることなくほぼすべて終わります。
だから、年を取ってもできるんですね。
これは、農林水産省が出している全国の稲作農家の年齢の分布をグラフにしたものですが、70代が一番多い。
そんなこんなで、70代になっても事業承継を考えていない人たちが、7割もいるのです。
そこに、
「自分ならもっと儲かる農業ができる!」と夢を抱いた若者が参入してきます。
- 機械が全部やってくれるんだから、自分でも大丈夫。
- これからの農業に必要なのは、経営マインドと、ITリテラシーと、マーケティングなんだから。
ということで、仲間に加わるのですが、なかなか自分の思い通りにいかなくて苦労する若者があとを絶ちません。
農業は、ビジネスじゃなくて「地域での暮らし方」だった!
地域の農家の人にとって、お米はビジネスの対象と言うよりは、自分の主食。
そして、実ったお米は地域で分配。
お米が売れたら、その利益も分配。
といった考え方が根強いなと思います。
「食べ物はみんなで作ってみんなで分ける。」という考え方が強いです。
でも、若い担い手にとっては違います。
農業は「経営」です。
利益を出し、投資をし、拡大するもの。
実は私も、「アグリフロンティア」という研修機関で講義を持たせてもらっており、「農業も経営です!」と言っています。
これから必要なのは効率化、利益率、販売戦略、ブランド化などなど・・・
でも
それはそうなんだけど、
もっと大事なのは、「農業」という地域に根差した文化を尊重することだなと感じます。
農業の事業承継に必要なのは、
正しさよりも、「納得」
スピードよりも「信頼」
結論よりも「過程」
自分の知識や願望はさておき、まずは地域の人達から学ぶことから、始めて欲しいなと思います。