ストロー効果とは ~リモート会議ができても、地方移住は進まない?~
DXは、地方の課題を解決するツール。
なんたって、大都市にいなくても仕事ができるんだから。
と思ってたんですが、
定期購読している月刊誌の今月号に、
「コロナ禍でオンラインでのコミュニケーションツールが普及しても、地方移住は進まないだろう。」
「なぜならストロー効果があるから。」
と書いてありました。
ストロー効果?
なんだそれ?
ストロー効果とは
ストロー効果とは、
「ある地点とある地点をつなぐと、吸引力の強い側が、吸引力の弱い側を吸い込む。」
ということだそうです。
「ストロー効果」という言葉が最初に使われたのは、瀬戸大橋ができたころ。
使ったのは、当時四国通産局総務部長だった「小野五郎」という人。
「ストロー効果」は日本発祥の言葉なんですね。
彼は、
「瀬戸大橋の開設は、四国と本州の間にストローをさすようなもの。
吸引力の強い本州側の経済圏に、四国の小さな経済圏が吸われてしまうだけだ。」
と、アイスコーヒーを飲んで「おいしいところは全部本州に。残るのは氷だけ」とコップを見せたとか。
つまり、
「交通網が整備されるとそれが『ストロー』となり、吸引力の強い側が、吸引力の弱い側のおいしい面を吸い込みがちだ。」
というわけです。
私が読んだ記事は、「インターネットによるコミュニケーションツールの発達を、交通網の発達ととらえると、同じことが言える」と言っているわけです。
ハフモデルを踏まえると?
以前、このブログで「ハフモデル」を取り上げたことがありました。
「お店の吸引力は、売り場面積が大きいほうが強くて、距離が遠いほうが弱い。」
という話でした。
- 人は、大きいお店に行ってしまう。
- そして、遠い店よりは近い店に行ってしまう。
これを、踏まえると、
- 人は、大きい町に行ってしまう。
- そしてストローがあったら、遠い町が近くなるので、遠くても大きい町に行ってしまう。
ということ?
そういえば、
今まで交通網が発達して、地方の人が便利になったけど、地方の衰退も始まりました。
リモート会議ができれば、地方に行かなくてもよくなる??
私は地方に住んでいるので、
「リモート会議ができるから、わざわざ都会に行く必要なくて便利~。
これでみんな地方に住むよね~。」
と考えていました。
ところが、このストロー効果を踏まえると
大都市圏の人のほうが、
「リモート会議ができるから、わざわざ地方に行く必要なくて便利~。」
と考えて、地方に支社を置かなくなるというのです。
今や地方のおいしい食材も、美しい伝統工芸品も、わざわざ地方に行かなくても、スマホを操作するだけで玄関まで運ばれていきます。
IT化は、地方創生のツールだと思っていたのに。
実は首都圏に地方のおいしい部分を集める道具だった?
そっち?
瀬戸大橋は、ストローだったのか?
今年35周年を迎える瀬戸大橋。
そもそも、瀬戸大橋はストローだったのかという疑問もあります。
橋の先端である香川県と岡山県には高い経済効果があったようですので、単に通風孔ができてどちらからも風が集まってきただけかも。
まあ、それはそれとして、インターネットで地方のおいしさだけが吸い取られることの無いよう、注意しないと。