結構な売り上げはあるのに、いつも金策に追われている。


ということがあります。


経費が掛かりすぎているのかと思うと、そうではないようです。


一体なぜ?


貸借対照表を見てみましょう


売り上げや経費や利益が書いてある「損益計算書」だけを見ていてもわからないことがあります。


そんな時は、「貸借対照表」を見てみます。


以前、貸借対照表について書かせていただいた時、

「貸借対照表は会社の健康診断書」

だと書きました。



売り上げが多いかどうかは、貸借対照表ではわかりません。


でも、貸借対照表を見ると、会社の健康状態がわかります。


会社が健康でなければ、いくら売り上げが多くても収益が得られない場合があるのです。


今回は、そんな会社の健康管理のための貸借対照表の中の、

「流動資産」と「流動負債」を取り上げます。


流動資産とは



上の貸借対照表のとおり、流動資産は、会社の資産のうち、一年以内に現金化するものです。


会社にある流動資産は、まずは現金、預金です。


そして、お客様がカードで支払ったり、取引先が月末に振り込みをするなどということがあると、それは「売掛金」というものになります。


そして、仕入れたけれどもまだ在庫として残っている商品や、作りかけの材料なども、売られる日を待って流動資産として存在しています。


現金・預金以外の流動資産も、早く現金になってくれるに越したことはありません。


早く現金化されるのを待っている資産。


それが、流動資産です。


流動負債とは


相手が会社に後払いするお金が流動資産である一方、

流動負債は、こっちが後払いするお金です。


会社が何かを買ったとき、現金ではなく月末に振り込む約束をしているものや、すぐに返す予定で銀行などから借りたお金などです。


こちらは、できるだけ先延ばしできるとありがたいものです。


流動資産と流動負債


例えば、流動資産が100万円あって、流動負債が200万円あるとします。


ということは、一年以内に100万円を手にすることができるけれども、その間に200万円の支払いをしなければならないということです。



現金が足りません。


そうなると、どこかからお金を工面しなければならなくなります。


銀行に借金を申し込むか、車を売るか、などなど、苦しい決断を迫られることになるのです。


流動比率とは


流動資産と流動負債の割合を「流動比率」といいます。


計算式は、

流動資産/流動負債×100


これが200%以上だと、安心です。


1年以内に支払う予定の流動負債が100万円あっても、1年以内に現金になる流動資産が200万円あれば、まず大丈夫!

というわけです。



でも、まだまだ油断はできません。


売上債権とは


流動資産の中のお客さんが後払いする売掛金などを、「売上債権」といいます。


これがどれぐらいで回収できているかが問題です。


「一年以内に現金になる」などと悠長なことは言っていられません。


一か月後には、仕入れ先に入金しないと取引してもらえなくなります。



売上債権も、1~2か月以内に回収したいところです。


売上債権回転期間とは


売掛金などが何か月で回収できているかを「売上債権回転期間」といいます。


計算式がこちらです。


売上債権/(売上高/12)=売上債権回転期間


売上高が、2000万円、売掛金が300万円だとすると

300万円/(2000万円/12)=1.8

となるので、

この会社は、売掛金を1.8か月で現金化できている。



ということになります。


2か月以内に回収していると、安心です。


これが3か月以上かかっているとなると、経営が非常に厳しくなります。


なぜなら、商品を売ったりサービスを提供しても、3か月間何も収入がないのと同じことだからです。


商品を売ったり、サービスを提供するにも費用がかかります。


収入がないと、費用ばかりが出ていくことに。


せっかく売り上げがあるのに、銀行に借金を申し込むはめになるかもしれません。


利子も払わなければいけないし、もったいないですね。




このように、いくら売り上げが上がっても、現金が自分の会社以外のところで留まっていると黒字なのに借金が返せない

という状態に。


売掛金は長くても2か月以内に必ず回収するよう、しっかりと管理しないと!



売上増加も大切ですが、会社が収益をすぐに得られる構造になっているかはもっと大事です。