心理的安全性とは ~モチベーションを上げる大前提~
従業員のモチベーションを上げたい
という相談を受けることがあります。
従業員のモチベーションを上げる?
どうしたらいいのでしょう?
アフリカの民話が教えてくれる
アフリカに、「猫が人間と暮らすようになったわけ」という民話があります。
アフリカの草原で暮らしていた猫は、周りの強い動物に襲われそうで、いつもびくびくして暮らしています。
安心して暮らしたかったので、一番強い動物を探して、その動物と一緒に住むことにします。
草原で一番強いのがライオンだとわかり、
「これでやっと安心して暮らせる」
と思います。
でも、実はそのライオンも、人間にやられるんじゃないかとびくびくしながら暮らしていたのです。
ちっとも安心できません。
ライオンも怖がる人間ってどんなものだろう?
と見てみると、恐ろしい武器を持って強そうです。
ライオンさえも仕留めてしまった人間は、
「早くおかみさんのいる家に帰ろう。あそこが一番安心する」
とつぶやきます。
ライオンも怖がる人間、その人間が一番安心するという「おかみさん」って?!
どんなに強くて恐ろしい姿をしているんだろうと思い、人間についていくと
「おかみさん」というのは、武器も持っていないし全然強そうじゃない、小さな女の人でした。
でも猫を膝の上で優しくなでてくれました。
「人間が言った通り、ここが一番安心して暮らせる。」と思った猫は、
それからずっと、「おかみさん」のそばで暮らすことになりましたとさ。
という話です。
この猫は私たちに、一番の居場所は、強い人のそばではなく安心できる人のそばだということを教えてくれます。
安全安心を求める本能
猫だけじゃなく、そもそも人間は、本能的に安全安心を求めているようです。
子供と話すとき、人は自然にしゃがんで目の高さを合わせたり、わかりやすい言葉を使おうとしたり、笑顔で優しく話したりするよう心がけます。
それは、子供に安心してほしいから。
お客様に対しても、やはり笑顔で優しく、安心してもらえるような態度で臨みます。
でも、従業員に対してはどうでしょう?
自分が従業員の視点に合わせようとするのではなく、従業員のほうから自分に合わせてほしいという気持ちが強くなってしまう場合もあるようです。
そして、従業員が自分の期待通りの行動をしてもらえないと「そうじゃなくて!」と不満を覚えたりもします。
これでは、従業員が安全安心な状況にあるとは言えません。
人間は、安全安心を得られないとわかると、恐怖や不安を避けるために心を閉ざす傾向にあるようです。
こんなことを言ったら変に思われるんじゃないか。やめておこう。
失敗したら叱られる。やめておこう。
というように、自分を守るために意見も言わず、挑戦もしません。
それが、経営者にとっては「モチベーションが低い」と感じられるわけです。
心理的安全性とは
組織の中で、自分の考えや気持ちを、誰に対してでも安心して発言できる状態を「心理的安全性」がある状態といいます。
この言葉は、Google社のある調査で注目を浴びた言葉です。
Google社は、4年の歳月をかけて社内の180に及ぶチームを対象に、より生産性の高い働き方をしているのはどういうチームなのかを調査しました。
その結果、一人ひとりの能力や、その組み合わせに差はみられず、チームの特性に差があることがわかりました。
その5つの特性の中の重要な1つが、「心理的安全性(Psychological safety)」だったのです。
自分の意見を述べても、誰からも拒絶されない、誰からも罰せられないとわかれば、人は安心して行動したり発言したりできます。
そういう環境ができて初めて、モチベーションを上げることができると言えます。