誰かに相談したら、すぐに答えを出されて「言わなきゃよかった」と後悔したことはありませんか?


例えば仕事のことで悩んでいて「今の仕事を辞めようかな。」とつぶやいてしまったとします。


それを聞いた友達が、「辞めた方がいいよ」と即答したとしたら?


「ちょ、ちょっと話聴いてよ!」

と思いますよね?


実は自分が友達に答えを出してほしいわけじゃなく、

「何に悩んでるの?」

「解決の方法は他にないのかな?」

と一緒に考えて欲しかったわけです。


答えよりも、気持ちを整理する“プロセス”が大事なんですよね。


最近読んだ『本当の会議』という本の中で、このような状態にぴったりの言葉を見つけました。



「ネガティブ・ケイパビリティ」です。


ネガティブ・ケイパビリティとは


ネガティブ・ケイパビリティというのは、すぐに答えが出ない状況に耐え、あえて結論を急がずに“わからなさ”に留まる力のことを言います。


この本によると、これは詩人ジョン・キーツが提唱した概念なのですが、実はいろんな時代に、いろんな業界で、同じようなことが提唱されていたとか。


ある時はパリの小説家たちの間で、ある時はギャンブル依存症の自助グループのミーティングで・・


答えを出そうとしないで寄り添ってもらうことで、今まで沢山の人が救われてきたんですね。


みんな答えを出してあげようとする


でも、人って誰かに相談されると、自分が頼られていて何か提案するべき立場にいると思ってしまいがちですよね。


「別にあなたの意見なんて求めてないんだけど!」

「相談してきたのそっちでしょ!」

夫婦喧嘩って、これが多い気がします(笑)


私自身、自分の仕事を最初そんな風に考えていました。
  • 「要するにこういうことですよね?」
  • 「こうしたらどうでしょう」

とか偉そうに。ああ、恥ずかしい。昔の自分。


仕事をしていくうちに、私が答えを出したところで何も解決しないことに気が付きました。


やっぱり、ここで必要なのはネガティブ・ケイパビリティでした。


対話をすることで、経営者の考えでもなく私の考えでもない、全く別の発想が生まれるのです。



だから、ネガティブ・ケイパビリティは、ただ我慢する力ではなく、「まだ見ぬ可能性」を信じる力なのかもしれないなと思います。


これって傾聴力?


この話は、良く言われる「傾聴力」にも似ています。


傾聴力は「支援の技法」としてカウンセリングやコーチング、面談などでよく使われます。


でも、私の考えでもない、経営者の方の考えでもない第三の発想が出てくるには、私の傾聴力だけでは無理。


経営者側にも早急に答えを求めないネガティブ・ケイパビリティが必要です。


「お客さんが増えるいい方法ありますか?」

などと言う方は、私が何を言おうと、

「でも、○○だからやりたくない。」と、できない理由を並べて結局何も進まないんですよね。



あ、愚痴になっちゃいました!


  • 誰かが正解を出してくれるのではない。
  • ここで一緒に最善の方法を生み出すんだ!

と考える力が本当に大事。


じゃあ会議はどうするのか


ところで、この本の題名は「本当の会議」です。


じゃあ、「本当の会議」って何?

と思いますよね。


全員がネガティブ・ケイパビリティを持って会議に臨めばいいのです。


  • 自分に都合のいいように寄せたりせずに相手の話を聴く。
  • みんなが誰にも忖度せずに本音で話す。


誰かが正解を言ってくれるのではなく、この話し合いの場で、想像を超えたものが生まれると信じて。


難しそうですが、まずは雰囲気作りから!