テレビ電話って本当にできるのかな?

と思っていたころ、家にある固定電話にFAXが付き、今度はそこにテレビがつくと思っていました。



ところが、そっちじゃなくて、携帯電話というのが世の中に出現し、あっという間に映像も届くようになりました。



イノベーションの生まれ方


このように、技術革新は、一つのものがどんどん進化していくのではなく、ある時すい星のごとく生まれたものが、古いものを難なく追い越していく



という性質を持っています。


マッチというものが発明され、人はわざわざ火を起こさなくても良くなりますが、マッチの会社がライターを作ったわけではありません。


マッチで一世を風靡した会社は、お客さんの要望に耳を傾け、安全で使いやすいマッチの進化に、会社を挙げて取り組みます。


でも、そうしてマッチの会社が頑張っている間に、ライターを100円にした会社が登場し、人々はそっちに飛びつきます。


まさに青天の霹靂。


カメラにしても、お客さんの要望に応えて、きれいに写るカメラとか、安いカメラを一生懸命作っていたのに、全然別の会社がいきなりデジタルカメラを発明してしまうと、今までの苦労は水の泡、技術の結晶が、在庫の山となってしまいました。


会社は、素晴らしいイノベーションを起こした自分たちが手にした栄光、お客さんたちの期待や願いから手が引けなくなってしまい、その製品にこだわり続けてしまいます。


ところが、「きれいに写る、安いカメラを作って下さい!」と言っていたお客さんは、デジカメが登場すると

「まさか、フィルムも買わないでどんどん写真が撮れて、現像も不要なものが出ると思わなかったものですから・・・」

と、手のひらを返してしまうわけです。



このように、様々な技術が、今まで沢山のイノベーションを起こして私たちの生活を変えてきました。

そして今、たった一つの「デジタル」という技術が、ありとあらゆる業界でイノベーションを起こしています。

デジタル技術による破壊的イノベーション


デジタル技術で破壊的なイノベーションが起こり、既存の事業が一気に衰退するのが、デジタルディスラプションです。総務省情報通信白書80ページ参照


メルカリが出現すると、町のリサイクルショップは大打撃。


一大イノベーションを起こし、店舗を広げていったレンタルビデオ屋さんも、デジタルで映像が配信されるというイノベーションのために、たくさんの店舗を失いました。


自分たちの会社の中や、自分たちのお客さんだけの情報に頼っていると、今までライバルだと思っていなかったところから、デジタルの一撃がやってくるかも。


デジタルにできないこと


レンタルビデオ屋さんの例でも分かるように、お客さんは、「より気軽なもの」、「簡単にできるもの」、「すぐに手に入るもの」を求めているようにも見えます。



そうなると、わざわざレンタル屋さんに行かなくても、大量の映画を家で見て、返却の心配もしなくていいネットフリックスが選ばれます。


でも、今その場で簡単に済ませたいものばかりが求められるかといえば、そうではないようです。


思いがけない出会いがあったり、ちょっと頑張れば乗り越えられそうな困難に挑戦したり、友達に教えたい出来事を体験したり、というのも、うれしいですよね。



「モノ」というのは、手軽にすぐに手に入れ得られるほうがいいかもしれませんが、わざわざ車を走らせて長い行列に並んでも欲しい体験、つまり「コト」というのも求められています。



おいしく楽しく食べる時間、安心できる品質、店員さんの笑顔など、どれだけの「コト」を与えられるか、それ以外の予約だったり、支払いだったりが、どれだけデジタルで対応できるか、みたいなことも大事になってきます。