イノベーションとは ~技術革新じゃなかった~
ビジネスの世界では、いろんなカタカナやアルファベットが飛び交っていて、その数はどんどん増えています。
私たちを煙に巻くような言葉の一つに、「イノベーション」があります。
今回はこの「イノベーション」を取り上げます。
イノベーションとは
昔、イノベーションは「技術革新」と訳されていました。
そうなると、何かものすごいことをしないとイノベーションにならないような気がします。
でも実際のイノベーションは?
ウィキペディアによれば
物事の「新機軸」「新結合」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」
となっていて、「技術」でもなければ「革新」でもない。
ちょっとした発想の転換なのです。
イノベーションが得意な人たち
花札を売る「任天堂」という会社を、巨大なゲーム会社のNintendoに押し上げたのは、当時の社員、横井軍平(よこい ぐんぺい)の「枯れた技術の水平思考」と言われています。
「枯れた技術」というのは、世の中にすでに転がっていて、使い方も知られているもの。
「水平思考」というのは、別の見方をすること。
この思考が、光線銃を生み出しました。
光線銃には、太陽電池が使われていました。
「太陽電池」と言ったら「電池」ですよね。
でも、横井さんはそれを「光に反応するもの」と考えました。
銃から光が発射されたら、太陽電池が埋め込まれたライオンが吠える、というおもちゃにしたのです。
銃から発射される光に、太陽電池が使われているわけではありません。
この一人の社員の思考が、今でもNintendoの原動力として、大切に受け継がれているそうです。
こういうの、子供は得意ですよね。
なんでもおもちゃにして遊んでしまいます。
うちの息子は小さいとき、おなべのフタを自動車のハンドルにしたり、コマにしたりして、一日中遊んでました。
ちゃんとした(?)おもちゃも買ってあげてたんですけどねー。
主婦も得意ですよね。
「めんつゆ」と書いてあるのに、それで煮物を作ったりします。
既成概念にとらわれていないので、お鍋のフタがおもちゃという価値を持ち、めんつゆが万能調味料という価値を獲得したわけです。
5つのイノベーション
世の中で初めて
「イノベーションとは 〇〇である」
と定義づけたシュンペーターという人は、イノベーションを5つに分類しています。
プロダクション・イノベーション
イチゴは昔からあるし、大福も昔からある。
でもイチゴ大福は無かった!
こんなふうに、新たな製品を作り出すことを
「プロダクション・イノベーション」と言います。
イチゴ大福が生まれると、ミカン大福やブドウ大福など、次々作られて、「和菓子」自体の可能性がぐんと広がりました。
プロセス・イノベーション
イノベーションは、製品だけをいうのではなく、作り方にもイノベーションはあります。
蒸し器を使わずに、電子レンジで蒸しパンを作る
というように、何かを作るときの方法を変えることは、「プロセスイノベーション」と呼ばれます。
今では、「レンチン料理」という新しい料理法が確立されました。
マーケティング・イノベーション
「ちょっとジムに行ってみたいけど敷居が高い」と思った主婦が、買い物帰りに行けるフィットネスクラブも、イノベーションの一つ。
フィットネスクラブは昔からあったし、主婦が通えないわけではありません。
でも女性限定、30分だけ、スーパーに併設、など、「買い物帰りの主婦のためにあるフィットネスクラブ」というのは、新しい価値の創造です。
「主婦層」をターゲットとしたフィットネスクラブのように、新しい販路を開拓するのは「マーケティング・イノベーション」と言われます。
サプライチェーン・イノベーション
家にいながら買い物ができるアマゾン。
世界中にあるアマゾンの倉庫では、ロボットが動き回り、ドローンが飛び交っています。
このように、商品が仕入れられてお客さんに届くまでの方法も、今までと全く違うものが生み出され、世の中を便利にしています。
これは「サプライチェーン・イノベーション」です。
オーガニゼーション・イノベーション
組織のイノベーションというのも、生まれています。
テレワークを活用して、在宅ワーカーだけで運営されている会社もあります。
「会社員は会社に出勤する」という既成概念を壊してできる「オーガニゼーション・イノベーション」です。
イノベーションの連鎖
イノベーションで生まれたドローンに、いろんな使われ方が考え出されて、またイノベーションを生む
というように、イノベーションの連鎖が始まっています。
視点を変えることで、今まで抱えてきた問題が解決出来たら、素敵ですね。