「やれやれ、うちの会社もIT化したな」と思っていたのもつかの間、

巷では「DX」という言葉が出てきました。


「それって、IT化と違うの???」


DXとは


DXは、「Digital Transformation」のことで、

Dはデジタル、

Xは「変身」を意味する「トランスフォーメーション」


「えっ?トランスフォーメーションなら、『X』じゃなくて『T』じゃないの?」


と、思ったら


「トランス(trans)」は「X」とも書くらしく、トランシーバー(transceiver)をXCVRと略したりもするようです。


企業のIT化は、「コンピュータとネットワークで業務を効率化したり売り上げをUPしたりしましょう」というものでした。


企業もIT化しますが、世の中の消費者の皆さんもIT化しています。


すぐにスマホで検索したり、ネットで買い物したり、ビデオ屋さんに行かなくてもビデオが観れる時代です。


その「IT化した世の中に合わせたビジネスに変換させましょう」というのが、DXです。


企業のIT化は、DXのための基礎固めに過ぎなかったのです。



IT化で企業は進化しますが、これはポケモンの進化のように、「より強くなる」というもの。


それに比べて、DXは、進化ではなく「変身」。


「トランスフォーマー」のフィギュアが、車から戦士になるように、パーツは同じでも、外の環境に対応した姿に変わることを意味します。



どんなふうに変身すればいいのかを考えるには、これから世の中がどんなふうにIT化するのか、方向を見定める必要があります。


そのためのキーワードの一つが、「5G」と言われる新しい世代の通信環境です。


5Gとは


「これからは5Gだ!」をいうわけで、私も携帯を買い替えたのですが、5Gは携帯電話だけの話ではないようです。


総務省の発表によると、4Gから5Gになったときの大きな変化は


高速通信、低遅延、多数同時接続です。



高速通信


4Gから5Gになると、通信速度は10倍に。


2時間の映画を3秒でダウンロードしちゃうぐらいなので、ライブ配信がスムーズ。


カメラを搭載して映像を送ってくれているドローンが、もっといろんな情報を瞬時に伝えることができるようになります。


オンラインで教育を受ける人にも、実際その場にいるような体験や、むしろその場にいるより沢山の情報を届けられるようになったりします。


低遅延


発信されてから受信するまでの時間が1ミリ秒。


1ミリ秒って、ほぼリアルタイム!


危険を察知して1ミリ秒で対応できるので、自動運転もできるし、ヘリコプターで移動中の遠隔診療も可能に。


多数同時接続


1平方キロメートルの範囲でつなげるデバイスは、100万台。


普通の家の台所で、冷蔵庫やテレビ、ポット、炊飯器、電子レンジなどなど、100個のものがネットにつなげる計算です。


パソコンの画面にあるものを、そのままプリンターが印刷するどころの話じゃなく、いろいろなものが連動して働いてくれちゃう世の中になるんですね。


ローカル5G


また、工場内だけとか、その地域だけとか、限られた範囲だけを通信環境にするローカル5Gというものも可能になります。


農業の課題解決など、様々な分野で実証実験もされているところです。



これからのビジネスモデル


こんなふうに、5Gによってそれぞれの業界でいろんな可能性が出てきています。


解決できないと思われていた課題が、どんどんITで解決できるようになり、想像していなかったいろんなサービスが登場すると思われます。


企業は、

  • 5Gの世界でサービスを提供する
  • 5Gの世界で提供されたサービスを活用する

ということができるだけじゃないようです。


行き交う情報は分析され、消費者の行動がもっと細かくわかるようになると、マーケティングが変わります。


「良い商品を作って不特定多数の人の中から興味を持ってもらった人に買ってもらう」という「点」の売り方とは逆に、


「Aさんがその都度必要なものを買いやすい方法で提供し続ける」というように、「線」で売る、「面で売る」というような「バリュージャーニー型」のビジネスモデルが主流になると言われているのです。


例えば、Aさんは、20歳の時にXという製品を買っても、21歳の時は別のものが欲しくなるかもしれないし、ネットで買いたいときもあるし、店舗で店員さんから話を聞いて買いたいときもある。


そんな、ライフスタイルを変化させる世界中のAさんに、ず~っと寄り添っていくことが可能な世の中になるというのです。



これからの世の中は、


「IT化が加速していろんな可能性が増える」


ということはもちろんですが、


「それぞれの消費者の行動が情報として蓄積される」


ということもあります。


この2つに対応する企業になることが、DXと言えます。