私は、公的な機関から依頼されて経営者の課題解決をすることが大部分。


まず最初に決算書を3期分いただくことが多いです。


それを見ながら

  • わー、もっと早く手を打てればよかった~
  • この投資をする前に相談してほしかった~

などとグチグチ考えながら、分析をすすめるわけです。



でも、そんなタラレバ言っててもしょうがない。


とにかく自分の気持ちをリセットして、詳しくお話を聴いて、一緒に考えよう。

という想いで訪問の日を迎えます。


すると、結構社長は楽観的。

  • 「最近、少し売上が戻ってきた」
  • 「今やっていることの結果がもうすぐ出そう」
  • 「だから、今はあまり変えずに様子を見たい」

などと、結局

「今のままやってみる。」

という決断を自ら下す人がマレにいます。



この時、この社長には「正常性バイアス」が働いているかもしれません。


正常性バイアスとは


正常性バイアスとは、好ましくない状況や危機が目の前にあっても、

  • 「まだ大丈夫だろう」
  • 「そのうち元に戻るだろう」

と考え、事態を実際よりも軽く受け止めてしまう心理のことです。


災害の時も、警報が出ていても、

  • 「このくらいなら大丈夫」
  • 「今まで何もなかったから今回も平気」

と考えて、避難が遅れてしまったりします。



つまり、正常化バイアスは

「異常な状態を、まだ正常の範囲だと思ってしまう」

ということなのです。


これは、ポジティブで前向きなのとは違います。

  • くよくよしていてもしょうがない
  • 頑張っていれば何とかなる

という気持ちを持つのは大事です。


でも、現実の数字が悪化しているのに、

  • 「何とかなる」
  • 「そのうち戻る」

と考えて、必要な行動まで先送りしてしまうのであれば、それは前向きなのではなく、現実を軽く見ているだけかもしれません。


経営者に必要なのは、むしろ逆


経営者なら、

  • 少しの環境の変化も見逃さない
  • いつも変化に対応しようとする姿勢がある

というのが理想です。



ところが、正常性バイアスは、その真逆の方向に働きます。

  • 「今まで大丈夫だった」
  • 「みんなも大変だと言っている」
  • 「最近、少し売上が戻ってきた」

そう考えることで、変化を小さく見積もり、今までの日常を変えない理由をつくってしまいます。


それが続くと

  • 時代の変化に対応する感覚が鈍る。
  • 時代に敏感な従業員が去る。
  • 改善思考がない会社になってしまう。

という危険性があります。


正常性バイアスに気を付けましょう


このような危険性に陥らないためにも

  • 自分の正常性バイアスを認識する
  • 変化に敏感な経営者の仲間を持つ
  • 売上だけでなく、決算書の数字を重要視して会社の現実を受け止める。
  • 判断基準を、自分の感覚ではなく、業界の指標で設定する。

というようなことが大事です。



利益を獲得するのに支障になっているのは、
  • 周りの状況ではなく、
  • 本人の正常性バイアス
かもしれません。