診断のコミュニケーションとは ~お医者さんから教わったこと~
先週、病院へお邪魔して話を聴いているうちに、昔のことを思い出しました。
お医者さんの思い出
それは、私がJICAミクロネシア事務所に勤務していた時のことです。
途上国には、日本のように設備が整った病院があるわけではありません。
そこで、その国に住んでいる日本人の健康相談のために、1年に一回、日本からお医者さんが巡回して来てくれていました。
お医者さんが大使館に滞在してくれるのは、2~3日だったように記憶しています。
丁度その時に、青年海外協力隊でミクロネシアに派遣されていたN君から、急激な腹痛に襲われたと連絡がありました。
そこで、私はN君を現地の病院に連れていくと同時に、その巡回のお医者さんにも連絡しました。
病院に駆けつけてくれたそのお医者さんは、検査の設備も無い中、丁寧に素早く聞き取りをし、注意深く触診をしました。
そして、数ある腹痛の可能性のある病気の中から、問診と触診だけで病名を限定し、治療法を現地のお医者さんに告げてくれたのです。
お医者さんが下した病名は、尿路結石。
石の大きさも推定し、細かく砕いて排出する薬の服用が選択され、N君の痛みは治まりました。
その姿に、私はめちゃめちゃ感動し、今でも強く心に残っています。
そのお医者さんの本来の専門は産婦人科でした。
こうした巡回には、内科も外科もできる産婦人科の先生が来るのが一般的だったようです。
素晴らしい知識とコミュニケーション能力で、N君はその先生をとても信頼し、安心して治療を受けることができました。
いいお医者さんの判断基準?
私達は、病気になった時、自分の体に何が起こっているのかを判断することができません。
何が原因なのか、これからどうしたらいいのか、さっぱりわからない。
そんな私たちが、「いいお医者さんかそうでないか」を判断するのは、そのお医者さんの医学的な能力の高さではないですよね。
そんなのが判断できる知識は私たちにはありません。
じゃあ、安心してそのお医者さんの言う治療を受けようと前向きに考えられるのは何かというと、信頼できるかどうか。
じゃあ、信頼できるかどうかをどう判断しているのかというと、私の体の状態を正しくわかってくれているかどうか。
ミクロネシアに巡回に来たお医者さんは、
「こうした病状だと、A、B、Cの可能性がありますが、さっきの話では、○○だったので、Aではありません。そして、△△という話だったので、Cでもありません。なので、Bの可能性が非常に高いです。」
と説明してくれました。
途上国で体に異常を感じると、命の危険さえ頭をよぎりますから、こうした説明をしてくれると涙が出るほどありがたいです。
中小企業診断士の診断
私たち中小企業診断士は、「会社の町医者」とも言われます。
社長から話を聴き、現場を見て、数字を分析し、本当の課題を探していく。
その姿は、あの日ミクロネシアで出会ったお医者さんとどこか重なります。
丁寧な聞き取りなくして、正しい診断はできない。
相手との信頼関係なくして、本当に必要な情報は得られない。
久しぶりにあの日のことを思い出し、私の考える「プロの診断」って、ここから来てるんだな!と発見しました。