「対話のトリセツ」から学ぶコミュニケーション ~脳にはタテ型とヨコ型がある?~
突然ですが、 中小企業診断士という仕事をするまで、こんなに「対話」が大切だとは思っていませんでした!
質問の仕方ひとつで、経営者の方から得られる情報量は大きく変わります。
日々こんなことばかり考えているので、本屋さんに行っても、「対話」という単語が目に飛び込んでくるわけですが、最近「対話のトリセツ」と言う本を読みました。
これは、AI開発のために人間の脳を研究してきたシステムエンジニアの方が書かれた本。
彼女がこの研究の最中に大発見したのが
「この世のコミュニケーションは『すれ違いが基本』」
だというのです。
「すれ違いが基本」って、言われたら元も子もないですね。
でも彼女は、「私はこれを発見するためにこの世に生まれてきた!」とさえ言っています。
すれ違いが当たり前なのは、物事のとらえ方には2種類あるから。
2種類あるからこそ、人間と言う動物は生き残ってこれたというのです。
つまり、「なんで言ってくれなかったんだ!」「何で察してくれないんだ!」とケンカしているからこそ、人間は生き延びてきたというわけです。
脳にはタテ型とヨコ型がある
人間の脳のシステムは、タテ型とヨコ型があるようです。
タテ型の脳とは
目標に対してまっすぐに突き進んで解決するのがタテ型。
私はこれを読みながら、小さいころテレビで観たウルトラマンを思い浮かべました。
怪獣と戦うのに、線路や橋が壊れたりしますがお構いなしです。
これと同じで、タテ型の脳を使っている時、人は周りの人の心情など無視して課題を成し遂げます。
だから、周りからは「冷たい」とか「わかってくれない」とか言われます。
こんなに世界を救っているというのに。
ヨコ型の脳とは
これに対して、ヨコ型の脳は半径数メートルのことに配慮し、身の回りの異変に敏感だというのです。
私はこれを読みながら、最近テレビで観た「名探偵コナン」を思い浮かべました。
小さい異変を見逃さず、過去を振り返って「そういえばあの時の違和感はこれだったのか!」などと犯人を特定します。
日々の小さな問題は、彼らが解決しているのです。
お互い大切な存在です。
でもウルトラマンと名探偵コナンが会話したら、
- ウルトラマン「今すぐ悪の組織をつぶさないと地球が危ない!」
- 名探偵コナン「いや、待て、その行動が周りに及ぼす影響を考えよう。」
みたいな感じで、どっちもイラっとしますよね?
ウルトラマンとコナンが混在?
一人の脳の中は、ヨコとタテが混在し、瞬時に使い分けできるようですが、同時に両方は使えないようです。
そして、同じ状況でも人によってどっちを選ぶかが違う。
買い物をするときに、
- 必要なものだけをまっしぐらに買って帰る人
- いろいろな商品を見て、欲しいものを買う人
の2種類がいるように。
だから、すれ違いが当たり前なのです。
会社の中で、みんなでアイディアを出し合っている時、ヨコの人は楽しそうに、ふとした思い付きを話し、タテの人は「要するに結論は何なんだ!」と思っているのですから。
どっちも大事
この本では、タテ型を問題解決型、ヨコ型を共感型と呼んでいます。
そして、昭和の日本の社会で重要視されてきたのはタテ型で、ヨコ型は仕事以外のところでしか使われてこなかった傾向にあるようです。
女性が社会で発言すると「だから主婦は話が通じない。家庭に引っ込んでろ」と言われた時代のことですね。
でも現在はどちらも大切で、共感型の対話ができない会社は、企業価値が生まれないとも言われているようです。
結局のところ、タテ型とヨコ型は優劣ではなく、両方あってこそ人も組織も豊かになるということ。
経営の現場でも、課題解決優先のタテ型の思考と、相手を受け止めるヨコ型の思考を場面によって使い分けることが欠かせません。
「すれ違いが基本」だと知ったうえで、お互いの違いを尊重すること。
これこそが、組織に新しい価値を生み出す第一歩なんですね。