嬉しかったこと ~2年間の支援の締めくくりで~
先週、2年間のプログラムでご支援させていただいていた農業法人様への訪問の最終日を迎えました。
その間、財務分析や、全従業員を集めてのワークショップ、ビデオ回して作業分析、いろいろやりながら経営陣と話し合いを年8回、2年間で16回もやりました。
最終日にやりたかったことがありました。
それは、代表の言葉をまとめて伝えること。
今年度に入ってから取り組んだ課題の一つに事業承継がありました。
代表は「承継しなくては」と言いながらも、後継者をなかなか決めてくれない・・・
途中から、「もしかしたら、自分が離れたらこの組織が違う方向に行ってしまうんじゃないかと思って不安なのかな?」と感じるようになりました。
そこから毎回、代表の言葉を書き留めることにしました。
- 米の品種どうしよう?
- 運送料は?
- オペレーターの育成は?
などなど、経営陣で話する中で、
- 「最初はこんな苦労もあったんだ」
- 「そうは言うけど、これだって意味があるんだ」
代表が何気なく口にする言葉のすべてを記録しました。
これをまとめてみると、創業当時から何をやってこの組織が成長してきたのかが見えてきました。
それをA41枚に整理して読み上げたところ、経営陣から
「まったくうちの会社そのものだ!」
「これは人材募集にも使える」
「従業員全員で共有したい」
と予想以上の反応が!
代表もえらく感心していたんですが、
いやいや、代表が言った言葉そのままですけど(笑)
この日はこれを使って、「目指す経営者像」と、「モチベーションを高める組織マネジメント、人事施策」が導き出されました。
こんな感じです。
目指す経営者像
- 地域と信頼関係を築き、農業全体を支える視野を持つこと
- 取引先の厳しい要求に応えながら、競争力を維持する経営能力
- 困難をチャンスと捉え、組織全体を成長させるビジョンとリーダーシップ
モチベーションを高める組織マネジメント、人事施策
- 地域や取引先との関係を大切にする意識の醸成
- チャレンジを歓迎する組織風土
- 社員一人ひとりが成長できる人事制度
- 働きやすく、生産性の高い環境づくり
どこかから持ってきた言葉でもないし、会社が目指すことでもない。
この会社が今までやってきたこと、やっていることです。
会社がHPに掲げている経営理念とも違います。
会社の中から生み出された真の方向性だけど、どこにも書かれていなかった言葉。
この時の代表の顔を見て
「これで事業承継大丈夫」
と確信しました。
この日、このあと皆さんが一席設けてくれたのですが、その時に代表があいさつで改めてこの取り組みに触れて感謝の言葉をくださいました。
2年の間、途中で「本当に役に立ってるのかな?」と無力感に悩んだこともありましたが、最後にこんなに喜んでもらえて、良かった。
「経営コンサルタントが来る」というと、
「上からダメ出ししてあーしろ、こーしろ、と言うんだろう?」
と思う経営者の方がとても多いです。
そんなことするわけないです。
会社のことを一番わかっているのは経営者ですから。
こっちは、情報を集めて整理して見える形にするだけ。
それでいつも寝不足で大変だけど、
この日のビールは最高にうまかったです!