先週も、いろんな企業に行かせていただきました。


そして、経営者の中には、損益計算書(PL)だけ、それも最後の当期純利益だけを見ている方が結構多いのに気が付きます。



赤字だったら心配して、黒字だったらほっとする。


そんな損益計算書だけを見ている社長さんに、言いたいことが一つあります。


損益計算書の見た目に騙されてはいけない!!


ということです。


見た目は似ていますが、お小遣い帳や家計簿とは全く違います。



お小遣い帳や家計簿だと、まず最初に使えるお金があります。



それは、お給料としてもらったお金やお小遣いとしてもらった「収入」です。


そのお金をやりくりした記録が、家計簿です。


収入より、支出が多いと赤字。


「財布のひもを締めなければ」となります。


でも、会社は、最初に売上があるわけではありません。


売上を生むために事業をします。


それには使うお金が必要です。


まずコストありき。


そのコストを使って生み出されたのが、売上です。


P/L思考とは


損益計算書のシートを見ると、最初に売り上げが書いてあって、そこから経費がどんどん引かれていっているかのような書き方になっています。



これだけ見ると、売上と経費を比べて利益が出ていたら〇。マイナスだったら×。

と考えてしまいます。


だから、

売上を上げなければ。

とか

経費を下げなければ

ということに目が行ってしまいます。


これがP/L思考です。


P/L思考に足りないもの


売上を上げることや、経費を下げることはもちろん大事なことです。


でもそれだけでは全体的な会社の経営状態はわかりません。


会社は、最初に売り上げがあるわけではなく、どこからかお金を調達してきて、それを使って売上を上げ、利益を生み出します。


投資活動と事業活動を繰り返し、会社の資産を増やしていきます。


損益計算書(P/L)は、事業活動の記録です。



だから、比べるのは

「売上と経費」

ではなく、

「投資したお金と儲かったお金」

です!


投資したお金、それは、自己資本や銀行から借りたお金のこと。



銀行から借りれば、返済が必要です。


この調達してきたお金を使ってどれだけ会社のお金を増やしたか


これが会社の本当の経営活動の成績になるわけです。


B/Sを見ましょう!


損益計算書だけでは

  • 「今年どれだけのお金をどこから調達してきたか」
  • 「いくら現金が増えたか」

はわかりません。


これがわかるのは、貸借貸借表(B/S)です。


ぜひ、前期の貸借対照表と、今期の貸借対照表を比べて、

  • どこからいくら調達したのか
  • いくら現金(現預金)が増えているのか

をチェックしてみてください。


銀行に返すお金よりも借りたお金の方が多ければ、「負債」の数値が大きくなります。


でも、その借りたお金を使って利益を増やせば、割合としては純資産の割合が大きくなります。


銀行からお金を借りずに事業活動を行った時でも、純資産の数値が前期より小さくなっていたら、投資した分の利益が得られなかったということです。


そうなると会社の資産は減ってしまいます。



投資と利益


例えばもし仮に、

銀行からお金を借りた時に、利率が5%だったとして、

調達したお金に対する営業利益の割合が2%だったら?


2%の儲けのために、5%支払っているのと同じです。



売上を上げる、経費を下げる

というよりも、

調達したお金で会社の資産を増やす

という思考で、経営をしていきましょう!