不正のトライアングル理論とは ~不正は悪意が無くてもおこる?~
組織の不正疑惑がニュースが絶えません。
「不正」というと、悪い人がいて世の中を欺こうとしているように思えます.
でもそれだけでなく、悪意が無くても不正は起こるんだなーと思うことがあったので、お伝えします。
不正のトライアングル理論とは
「どうして、不正が起こるのか?」
1950年代にアメリカの犯罪学者ドナルド・R・クレッシーさんは、不正が発生するには、3つの条件があると考えました。
不正の条件とは
- 「動機」
- 「機会」
- 「正当化」
の3つ。
これが揃えば不正が起こるらしいのです。
動機
第一の条件は、まずその人に不正を行う「動機」があること。
ドラマでも、悪いことをする人は、
- ギャンブルなどで借金がかさんでいる。
- 家族に重い病気の人がいて治療費が必要。
- 彼女に高価なプレゼントがしたい。
など、悪いことに手を染めるための動機があります。
でも、こういうことだけではなく、
会社の組織文化や慣習が、動機になっていることもあるのです!
組織全体で
- 「これくらいは大丈夫」
- 「皆やっているから」
という雰囲気があるとそれが動機になり、個人もそれに従ってしまいます。
- ルールがきちんと定まっていない。
- ルールはあっても社員に伝わっていない。
なんていうのも、不正の動機になります。
「えっ?これって悪いことだったの?! 知りませんでした。」
と、悪意もないのに
不正をしてしまうことになるのです。
機会
第二の条件は、不正を行う「機会」があること。
- 「俺の部下が不正を犯すはずがない」と放任して監視が甘くなる。
- 専門的な仕事で、たった一人で進めている
なども不正を行うチャンスになってしまいます。
誰にもバレずに数十年、不正が行われていた!
なんてこともありますね。
でも、人の目があっても、機会がある場合もあります。
- 私は会社のために人生を捧げてきた。
- 会社に多大な貢献をしている。
- サービス残業だって進んでやっている。
- 信頼されているから社長はいつも大目に見てくれる
と思える職場だと、小さな不正の機会がそこらへんに転がっているのです。
正当化
第三の条件は、「正当化」できること。
- 納期に間に合わないから。
- 会社のためだから。
- 社員のためだから。
- 社長もルールを守ってないから。
- 上司もやっているから。
など、言い訳できる状況が、不正を作ります。
まとめ
「動機」「機会」「正当化」の3つが揃った時、不正は行われます。
悪意が無くても、
- 業績を上げるため、ちょっとぐらいのことは目をつぶる
- 会社のためだから秩序は乱せない
- ○○さんは苦労してるから大目に見てやる
というようなことが、ルールよりも優先される組織風土があれば、誰もが無意識に不正を行う可能性も。
不正を防ぐために
不正の条件が、「動機」「機会」「正当化」なら、その3つが揃わないようにすれば、不正防止になります。
- 社員の話を聴いてあげる
- 明確なルールを作って周知する
- 一人に全部任せないで第3者の目を通すしくみを作る。
など、対応はありますが、一番大事なのは
まずは、経営者が不正をちゃんと認識することです。
不正行為に対する意識の欠如や、組織全体の文化や風土に、不正は生まれます。