近自然工法とは ~登山初心者の私が、3000メートル級の山で自然を楽しめたわけ~
2024年7月20日、西木登山クラブで乗鞍岳に上りました!
秋田に戻ってきたからには、山に登らなきゃ
と、3年前にこのクラブに入会。
それ以来、山のベテランの皆さんにサポートいただきながら、楽しく山登りをさせてもらっています(感謝!)
そして、今回3,026メートルの乗鞍岳。
このクラブの皆さんのサポートはもちろんですが、乗鞍岳には私でも登れる秘密があったのです!
日本一高いバスターミナル
乗鞍には日本で一番標高が高いバスターミナルがあります!
バスから降りたら、すでに2,716メートル♪
どうしてこんな高いところまでバスが通っているの?
と思って調べてみると、昔からここで暮らしている人がいたようなのです。
1,500メートルのところから、縄文時代の遺跡が見つかっています。
この位沢遺跡、なんと8,000年前の遺跡らしいです。
8,000年も前から、乗鞍には人が住んでいた!
そういえば、バスで登ってくる間にも、標高1,200メートルのあたりに小学校がありました。
乗鞍は、銀山として栄えた時代もあり、信仰の山でもあり、今ではヒルクライムの人たちの聖地らしく、上から降りてくる自転車軍団にも会いました。
2,700メートルまで自転車で登るなんて、びっくりです。
乗鞍は、すごく高いけど、身近な山なんですねー。
ここには、木道が整備されたお花畑があり、池があり、見ごたえ満点です。
コバイケイソウやクロユリが群生。
ガスで遠くまでは見えないんですが、ライチョウの声も聞こえます。
標高2700メートルのお散歩コース!
すごくないですか?!
そこから頂上に向かって歩き出すと
岩の間にコマクサ!
可憐♡
宇宙線観測所
お花畑を過ぎても、2,770メートルまでは、車も通れる道路です。
なぜかというと、そこには、東京大学宇宙線観測所があるから。
乗鞍では、昭和24年から宇宙線研究が始まり、今に至ります。
日本は昔から、素粒子研究は進んでいたそうです。
中間子の存在を理論で予言した湯川秀樹博士が日本初のノーベル物理学賞を受賞しました。
でも実際に中間子を発見したのはイギリスの人。
「日本でも実際に素粒子を観測したい!」
ということで、当時少ない予算で整った環境を得られる乗鞍岳の頂上付近が選ばれたそうです。
湯川秀樹がノーベル賞を受賞した年のことです。
ここは大気に邪魔されることなく、宇宙から降り注ぐミクロな粒子を観測できる場所なのです。
この宇宙線観測所のために道路が整備されているおかげで、私も、2,770メートルまでお散歩気分で歩くことができました。
湯川博士に感謝!
さてここからが登山道。
近自然工法の登山道
本当に岩だらけの「ザ・登山」になるのですが、ここでも、登山道がしっかり整備されています。
この登山道、自然にできた道のような感じがしたので、調べてみると「近自然工法」という手法で整備されているそうなのです。
近自然工法というのは、そこにある土、石、植物などの力を借りて整備するやり方。
山の成り立ちに沿った形で整備するので壊れにくいし復元力が強いそうです。
ビニールやコンクリートなどの人工的なものを使わず、ヤシのマットや石などを使っています。
水の流れや植物の生育を妨げない道づくりということらしいです。
「歩きやすい」というまではいかないですが「私でも歩ける」という程度が大事ですよね。
ということで、乗鞍岳は
- 2,716メートルまでは、昔から人が通っているのでバスで登れる。
- 2,770メートルまでは、宇宙線観測所まで車道を歩けるからお散歩気分で登れる。
- 3,026メートルの頂上までは、近自然工法で登山道が作られているから登れる。
いろんなことが重なって、私でも登れるすごい山でした!