企業はゴーイングコンサーンだと言われます。



ゴーイングコンサーンとは


ゴーイングコンサーン?


普段の生活では、全く耳にしない言葉ですよね。


ゴーイングコンサーンとは、

「未来永劫継続していく前提で存在している」という意味です。


確かに会社って、「50年たったら解散する」とか、

「3回社長が交代したら無くなる」とか言うものではないですね。


こうしている今も、アメリカでは大きな銀行が破綻して大事件になっています。


最初から、計画的に解散することが分かっていれば、こんなパニックにはなりません。


ずっと継続していくものだという前提で存在するからこそ、無くなると大事件なのです。


どうしてそんな前提があるのかといえば、

「そのほうが都合が良かったから」

ということになります。


世界で最初にできた会社は?


世界で最初にできた会社は、17世紀に造られた「東インド会社」だと言われています。


世界史ので習いました!


イギリスやオランダの会社が、インドのスパイスやアジアの織物などを買って、自分の国で売って商売していたあれです。



会社誕生前夜


この会社ができる前は、Aさんが

「インドのスパイスを安く買ってきてイギリス人に売って大儲けしようと思うけど、この話に乗らない?」

と周りに声をかけて資金を集めていました。


インドでスパイスを調達し、イギリスで売り、資金を提供してくれた人たちに分け前を分担し、打ち上げして解散。



しばらくするとまた

「ねえねえ、インドでスパイスを買ってくるけど、乗る?」と声をかけて・・・


ということを繰り返していたそうです。


一回一回解散していては、大変。


というわけで、ずっと継続する「会社」というものを作って、調達が楽になり、収益を会社に蓄積できるようになりました。


これが東インド会社なのです。


一旦組織というものを作ると、責任は出てくるし、安定は求められるし、大変ですよね。


世界にある全ての企業は、日々、ゴーイングコンサーンのために大きな責任を負い、知恵を絞り、汗を流しているのです。


企業のライフサイクルとは


いったん生まれた企業は無くせない。



となると、利益を生み出し続けなければならない。


となると、成長し続けなければならない


と言うことになります。


成長する? どんなふうに?


というときに、ヒントになるものの一つが、

「組織のライフサイクルモデル」です。


組織のライフサイクルモデルとは


組織は成長する段階で、何度か存亡の危機にさらされます。



その都度その都度、その危機を乗り越えるためにやらなければならないことがあるようです。


起業者段階


生まれたばかりの企業は、何で持っているかといえば、もちろんカリスマの存在です。


このカリスマの、誰も思いつかないようなアイディアや、思い切った行動力で、ビジネスは波に乗ります。


起業者段階の危機


でも、いつまでも一人のカリスマのパフォーマンスだけで成長し続けるのは難しいですよね。


いくらカリスマでも、一人は一人。


一人で扱える「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」などの資源には限界があります。


一人で扱える以上の量の資源を持って潰れてしまう危機を乗り越えるためには、管理能力が必要です。


組織に必要なのは、「カリスマ」ではなく、「組織を管理する能力があるリーダー」というわけです。




共同体段階


リーダーシップを手に入れると、人を増やすことができます。


仲間と一緒に目的に向かって進むリーダー。


全員がリーダーの采配で動きます。


「リーダー、どうすればいいですか?」

「リーダー、こっちも大変です!」


リーダーは大忙し。



共同体段階の危機


実は、一人の人がコントロールできる人数は8人ぐらいと言われています。


それ以上になると、そこにまた責任者を置いて管理してもらう体制が必要です。


いつまでも、すべて自分の支配下に置こうとすると、組織が成り立たないという危機に陥ります。


こんな時に必要なのは、「強いリーダーシップ」よりも、「人に権限を委譲できる力」というわけです。


公式化段階


部下に権限を委譲し、自分は経営に徹することに成功したら、企業はどんどん大きくすることができます。


組織のピラミッドの底辺をどんどん大きくしていけばいいわけですから。



そうなると、いろんなルールが徹底されます。


一つ事件が起こる度に、「こんなことが起こらないようにこうしよう」というルールができるので、会社はルールだらけ。


公式化段階の危機


ルールを守ることが優先され、組織を守ることが優先され、もはや誰のためのなんの組織なんだか、よくわからない。


ルールがなければ動けない、何も考えなくなってしまう社員が増えてしまいます。


世の中に合わなくなった、なんの意味も持たないルールになっているのに、誰も気が付かない。


世の中から置き去りにされるという危機が訪れてしまいます。



精巧化段階


あの頃の、生き生きと仲間が熱く議論していた会社を取り戻すことはできないの?


自分で考えて行動してほしい。


この危機を脱するために、大きな会社でも小さな会社のような機動力が大事です。


小さなチームの中でプロジェクトをやり遂げるようなしくみを作っていくことで、会社は活性化してまたさらなる成長を続けることができます。


これが精巧化段階といわれるステップ。


この段階で必要なのは、「歯車として働く従業員を作り出すしくみ」ではなく、「考えて動けるチームを作り出すしくみ」というわけです。


会社が今どの段階かを認識して、危機を乗り越えるための行動をとり続けるのが、ゴーイングコンサーンの秘訣ですね。