今回は個人事業主の定額減税を取り上げます。


前回も書きましたが、今回の定額減税は

  • 令和6年度の所得税を一人につき3万円減額します。
  • 令和6年度の住民税は、一人につき1万円減税します。

というものです。


従業員の分


個人事業主の人も、従業員がいれば給与から減税する作業が必要です。


前回お伝えしたように、6月に支払う給与から、所得税を3万円になるまで引いていきます。


ところが、

所得税が、一年間で3万円未満の人もいます。


そんな人には、「調整給付」があります。


例えば、所得税が2万円だったら、2万円の定額減税に調整給付の1万円を足して、3万円になる。



ということです。


「減税+給付=3万円」ではなく、「減税+給付≧3万円」なの?

と思いますよね。


今回の給付は、1万円単位で行われると報じられています。


例えば、

所得税が2万8千円だったら、3万円から2万8千円引いた残りは2千円。


給付額は2千円だと思いきや、切り上げられて1万円が給付される

ということです。


この処理は、市町村の税務課が行ってくれるので、給与担当者は何もする必要がありません。


調整給付は市町村が8月ごろから動き出すそうです。


個人事業主自身の分


従業員ではなく、個人事業主自身は、お給料をもらいません。


なので、減税は所得税を支払うタイミング。


昨年の所得税の金額によって、タイミングは2通りに分かれます。


昨年の所得税が15万円以上だった個人事業主


去年も所得税が15万円以上だったから、今年もそうだろう

と見込まれる個人事業主には、6月ごろ税務署から予定納税のお知らせが届きます。


所得税を、確定申告の時に1度に支払うのではなく、その前に7月と11月にも、合計3回に分割して支払うことになっているのです。


これが予定納税。


今年、予定納税のお知らせにはすでに自分の分が3万円減税された納税額が書かれています。


それを7月と11月に税務署に払う。


そして確定申告時で扶養家族などの減税分も計算されて、最終的な税金を払う。


ということになります。


もし、

「予定納税の時に、家族の分の減税もして欲しい」

という人は、

「減額申請書」の「1.減額申請の理由」の「予定納税特別控除額」に〇をして7月31日までに税務署に提出します。


昨年の所得税が15万円未満の個人事業主


今年の所得税が15万円未満だと見込まれる個人事業主は、確定申告で自分と扶養家族などの分が定額減税されます。


だいぶ先のことになりますね。



家族が専従者の場合


個人事業主の方は、自分の奥さんに経理をやってもらったりしている場合があります。


これを「専従者」といいますが、この専従者の定額減税が、今問題になっています。


専従者についても他の従業員同様、お給料をもらう時に減税されます。


でも、所得税がかからない程度にしかお給料をもらっていない奥さん達も多くいます。


給与収入が年間103万円以下であれば、所得税はありません。


所得税が無ければ、減税のしようがありません。


こんな時、もしこの奥さんがほかの会社でパートで働いていれば、夫の扶養家族ということで夫が定額減税を受ける時に、奥さんの分もカウントしてもらえます。


でも、専従者は扶養家族と認められない規則です。


だから、旦那さんが定額減税する時に奥さんの分はカウントされません。



「定額減税できない人は、国が給付金としてお金を渡すんじゃないの?」

と思いますよね。


ところが、国が給付金を渡すのは「定額減税できない世帯」です。


「人」ではなく「世帯」


この奥さんは、定額減税できませんが、旦那さんは定額減税できるので、「定額減税できない世帯」ではないんですね。


こうして今回の定額減税制度から抜け落ちて、減税もできないし、給付金ももらえない人がかなりの数いるそうです。


これが、先月の国会で取り上げられ、国でもこのことに対処していくことになりました。

記事はこちら


どうしたら公平に減税できるようになるだろう


と考えて作られた今回の定額減税だと思いますが、抜け落ちてしまう人が出てくるんですね。


法律を変えるって難しいですね。


今回の相談でも

「こんなことならみんなに4万円ずつ給付した方が良かったんじゃないか?」

という声が聴かれました。


でもそうなると「ばらまきだ」と言われるだろうし。


「ばらまきだ」「増税メガネだ」と言われない苦肉の策だったんでしょうね。


住民税


住民税の定額減税については前回話したように、市町村で計算し、すでに減税した金額を納付するようになっていますので、確認してください。


まとめ


というわけで、所得税の定額減税については


従業員

  • 個人事業主のもとで働く従業員についての定額減税は、給与支払いの時に減額する。

個人事業主本人

  • 個人事業主で予定納税がある人は、その時自分の分が定額減税されている。
  • 扶養家族などの分は確定申告で定額減税される。
  • でも、予定納税で扶養家族などの分も定額減税して欲しい人は、減税申告書を提出する。
  • 個人事業主で、予定納税が無い人は、確定申告の時に、自分の分と扶養家族などの分が定額減税される。

専従者

  • 家族が専従者の場合で、年収103万円以下の人は、今回の定額減税対象者から抜け落ちてしまった。
  • 給付がもらえるよう、国が対処する予定。

ということになります。


結局、必ずやらなければならないのは、

従業員の人の給与から所得税を3万円分減税すること。

だけです。


引き入れない分は、市町村に丸投げです。


あとは、自分や家族の分の定額減税や給付が間違ってないかチェック!

ですね。