もらう人は嬉しいけど、払う側の手間が大きい今回の定額減税。


今週は、経理担当者のための定額減税事務を取り上げました。


定額減税とは


今回行われる定額減税は

  • 令和6年度の所得税を一人につき3万円減額します。
  • 令和6年度の住民税は、一人につき1万円減税します。

というものです。


会社員の方は、お給料から毎月差し引かれている所得税や住民税から減税されます。


これが、6月分のお給料から始まっています。


だから、経理の人の仕事が増えているわけです。


経理担当者がやること(所得税)


1.減税対象者の確認


今回減税の対象になっているのは、

  1. 日本国内に住所がある
  2. 2024年分の所得税の納税者である
  3. 2024年の合計所得金額が1,805万円以下である

となっています。


3については、2024年の合計所得金額なんて、まだ誰にもわかりません。


とりあえず対象者としておいて、年末調整で帳尻を合わせます。


扶養家族や、生計を共にする配偶者の分も減税対象です。


ですので、提出済みの「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」で、生計を共にする配偶者がいるのか、扶養家族は何人なのか、確認します。



従業員のなかには「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記載していない扶養親族がいる場合があります。


従業員に前もってお知らせし、

源泉徴収に係る定額減税のための申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書

を提出してもらいます。


2.各人別控除実績簿の作成


例えばお財布が一緒の配偶者と、扶養している子供2人いる場合、

減税される所得税額は、30,000円×4名=12万円。



この金額を、6月のお給料の時、控除する所得税から引いていきます。


普通に考えて、6月分の給与所得税分だけで引ける額ではありません。


そうなると、ボーナスや7月分のお給料、8月分のお給料、という具合に引いていかなければなりません。



それぞれの人で違うので、管理が大変です。


だから、国では「こんな表を作って管理してはいかがでしょう?」というものを出しています。



これが、「各人別控除実績簿」です。


あくまでも任意ですが、こういうのがあると管理しやすいですよね。


エクセルデータはこちらからダウンロードできます。

こちら


3.月次減税額の計算


従業員のお給料から、いくら減税されるかがわかったら、6月分のお給料から、引ける分だけ引いていきます。


4.給与支払明細書への控除額の表示


月次減税額の控除を行ったら、従業員の方へ渡す給与支払明細書を作成します。


その月に減税した額がわかるように表示します。



給与支払い明細に余白がない場合は、別紙でも大丈夫です。


年末調整


年末調整の時に、最終的な精算をします。


年末調整の時に、従業員から出してもらう

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」や「配偶者控除等申告書」

などから再度、同一生計配偶者と扶養親族の人数を確認します。


課税所得税額から住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)など税額控除を差し引いて年調所得税額を求めます。


そして、最終的な所得税額となる年調年税額を計算して、精算を行います。



経理担当者がやること(住民税)


住民税の定額減税の金額は、一人1万円。


お財布が一緒の配偶者と扶養家族の分も1万円ずつ足されます。



6月分の給与では住民税の課税は無し


住民税については、6月分の給与計算時、従業員全員の住民税は、課税されません。


7月の給与からの住民税の定額減税


住民税は、所得税と違って、令和5年度の所得によって市区町村が計算します。


定額減税の分も、市区町村が計算してくれるとのこと。


なので、従業員一人一人の住民税から今回の定額減税を引いて、令和6年はいくら住民税を払うのか、お知らせが来ます。


その定額減税分を差し引いて残った住民税を11等分し、7月分のお給料から来年5月まで、毎月差し引きます。


はー。


書いているだけで疲れました。


めんどくさいですね。


年末調整で一気にやりたい。


と思ってしまいますが、国では「毎月やってください」ということです。


国税庁では、定額減税の特設サイトを設けていますので、ご確認ください。

こちら