「共感 本」と検索すると、Amazonで山のように本が出てきます。



この、沢山の本が出ている「共感してもらいたい」という悩み。


実はキリストが生まれる何百年も前に、すでにアリストテレスが書いていました。


パトス(聞き手の気分)=共感性


プレゼンして共感を得たい時、聞き手の気持ちが超重要。

とアリストテレスは言います。


気分がいい時は

「なかなかいい事言うじゃん」

と思える話でも、

他に心配事などがある時に聞くと

「私はそれどころじゃない、時間の無駄だ!」

と思います。


同じ話なのに。


でも相手の感情は変えられないですよね。

と思いきや、流石アリストテレス!


「聞き手の感情を生み出す方法を教えます。」

と言うのです。


感情を生み出す方法


例えば怒りの感情。


  • 自分はAさんの発言に怒っている。
  • みんなにもAさんに対して怒りを感じてほしい。私に共感してほしい。

という時に、どうやってみんなに怒りを感じてもらえるかをアリストテレスが教えてくれるというのです。


 

どうやるかというと、

まず、その感情を分析します。


  • どんな状態の時に人は怒るのか。
  • 誰に対して怒るのか。
  • なぜ怒るのか。

これを考えてみるわけです。


どんな状態の時に人は怒るのか


アリストテレスがよると、人が怒るのは、

「自分が到達したい目標や望みがあり、そこに到達できていない状態」という前提があるらしいです。


誰に怒るのか


誰に怒るのかというと、その目標や望みに到達できてないことを「軽蔑した人」。


例えば、いくら練習しても逆上がりができなくて悩んでいる時に、

「そんな簡単なこともできないの?」と言われる。



それを言うのは、私が逆上がりができようができまいが何の得もない人。


何の得もないのにわざわざ言ってくる、またはできないように邪魔をしてくる。


それも無意識に。


そういう人に対して、人は怒るらしいです。


不適切な発言をする政治家。

「そんなつもりじゃなかったんです!」

はい。怒りの対象ですね(笑)



なぜ怒るのか


なんと!

アリストテレスによると、怒りは快感らしいのです。


怒っている瞬間、その人は相手を見下しています。



つまり軽蔑の復讐を果たしている。


「俺もお前を軽蔑してやったぞ。」という快感。


だから、人は怒るらしいです。


怒らせる方法


このことを踏まえると、

「到達したいと願っているけど到達できていないことを無意識に侮辱される。」


という状態を作り出すと、人を怒らせることができるわけです。


例えば、

「政治資金パーティで裏金をため込み続けてきた人たちがいるんですよ!」

「悪いとも思わずに日常的に!」

「私たちは毎日せっせと働いて1円を節約する努力をしているのに、そんな大金持ったことないですよね。」

「その大金を『そんなはした金、報告しなくていい』と思ったらしいんです。」

「これって我々国民をバカにしてないですか?!」


という感じです。


アリストテレスの「弁論」とは


このように、アリストテレスの「弁論術」には、

  • 「勇気」の感情を生み出す話し方
  • 「憐み」の感情を生み出す話し方
  • 「恐怖」の感情を生み出す話し方
  • 「友情」の感情を生み出す話し方
  • 「敵意」の感情を生み出す話し方
  • 「親切」の感情を生み出す話し方
  • 「恥」の感情を生み出す話し方
  • 「妬み」の感情を生み出す話し方

などなど、いろいろな感情を生み出す話し方が、ずらずらと書かれています。


すごくないですか?


ソクラテスなやプラトンが「善」とか「徳」とか言っている時に、「人を共感させる方法」なんてハウツー本みたいなのを書いているんですから!


でも大切なのは、

アリストレスの根底にあるのは、

「本来、真実と正義は、虚偽と不正よりも強い」

ということです。


相手に「真実」と「正義」を判断してもらうことが、弁論の目的。



もし「虚偽」や「不正」が人に共感されるようであれば、それは話し手の責任だ。

と言っています。


小手先で人の心を操りたいのかと思いきや、そうではないんですね。


言葉は、話した瞬間自分の元を離れて不特定多数の人に届けられる。


そして自分がコントロールできないところで人に影響を与える。


その恐ろしさや重要性を考えていた人なんだと思います。


さて次回は、「ロゴス(内容の正しさ)」=論理性

を取り上げたいと思います。


来週もよろしくお願いします。