チラシを見てもらう

補助金をもらう

店に来てもらう

などなど


相手を動かすには、やみくもに一生懸命頑張るだけでは無理。


何か技術があるはず。


それを2000年も前から考えていたのが、アリストテレスです。



アリストテレスと言えば、プラトンの弟子。


プラトンは、対話を重んじたソクラテスに師事し、ソクラテスの対話集を後世に残しました。


ソクラテスやプラトンは、ひたすら自分の魂を磨き、善を追求。


それに対して、弁論の「技術」で人を動かそうというアリストテレス。


「刑事の勘」を鼻で笑い「科学捜査」に頼る新米刑事の匂いがしますねえ。



そんなアリストテレスの「弁論術」に書かれているプレゼン技術の3大要素は「ロゴス(論理性)」「パトス(共感性)」「エトス(信頼性)」の3つです。


その中で、今回は「エトス」を取り上げます。


エトス(話し手の人柄)=信頼性


アリストテレスが、プレゼンに大きな影響を与える要素としているのは、「話し手の人柄」。


話し手として信頼されることが、まずは話を聴いてもらう第一歩だと言います。


そのために、話し手に必要なのは

  1. 思慮深さ
  2. 聞き手への好意

の3つとのこと。


そんなこと要求するなんて、ソクラテスたちと同じじゃない・・

と思いますけど、読み進めてみます。


思慮深さ

 

アリストテレスによると、思慮深くなるには

「相手の幸福を念頭に善悪を判断する。」

というのが大事らしいです。


なるほど。

相手がどうすればHappyになるかを考えて話をすると、

「この人は思慮深い人だな」と感じでくれるということですね。


TVを買いに行っても、

高いものを売りつけようとする店員さん、やる気のない店員さんもいますが、

私の要求に応えようと、商品を選んでくれる店員に勧められたら買いますよね。

 


アリストテレスの言う「人徳がある人」は、

  •  正義感が強い
  •  勇気がある
  •  節制できる
  •  気前がいい
  •  度量が大きい
  •  鷹揚だ
  •  思慮深い

の7つ。


プレゼンする人に、こんなに求めるか?

と思いますが、

この7枚のカードで、ふさわしい1枚を切るのが大事とのこと。


エピソードでそれを伝えれば、相手は話を聴いてくれるということです。



聴き手への好意

 

人前で話す時に、「私はあなたたちに好意を持っています」と伝えるのは難しそうです。


これは、

  • 感情に共感を示す
  • 価値観をリンクさせる

ことで伝えられるとのこと。


感情に共感を示す


例えば青森県でお話しする時に

「尊富士が優勝した時、感動しました!」

などと言うと、青森県民の感情に共感すを示すことができます。



相手が嬉しい時に喜び、悲しい時に悲しむことで、直接「好意を持っている」と言わなくても、相手はそれを感じてくれるのです。


価値観をリンクさせる


例えば、整理整頓の本を読んでいると

 「小さいころは部屋がちらかりっぱなしだったのですが、今は整理整頓のプロです。」

みたいなエピソードが書いてあります。


 「この人も、散らかっている部屋で悩んでいたのか」と思うと、本を読み進めることができます。


このように「あなたと同じ悩みを持っていました」という発信は、自分のために話をしてくれる、自分に好意を持ってくれていると受け止めてもらえるとのことです。


人を動かす話し手の条件


歴史的な哲学者に「話し手の人柄が重要だ」

などと言われると、

ハードル高いな

そんな立派になれない

と思いますが、アリストテレスが言うのは、そういうことではありませんでした。


話し手として信頼されるということは、何もすごい地位にあったりすごい人格者だったりする必要はなく、

「あなたの幸福を思って話しています」と言うのを発信することができればいいということのようです。



さすが、ソクラテスやプラトンとは別の道を歩いた弟子だけあって、「技術的」ですね。


来週は、次の段階

パトス(聞き手の気分)=共感性

のお話です。


来週もよろしくお願いします。