いろんな便利な機械設備が登場しています。


「これを使えば、年間〇〇円節約できます!」

と宣伝しています。


買うか、買わないか、決断が必要ですね。


決め手は

「元が取れるか」

ですよね。


これ、計算できます。


元が取れるか?


例えば、15万円のコピー機を買うか買わないかで考えてみます。



A社では大体いつも月に500枚をコピーしていて、5,000円かかっていました。


年間にすると、

5000円×12か月=6万円

です。


でも、新しいコピー機は、インク代が安くて、500枚コピーしても2,500円しかかからない。


2500円×12か月=3万円


年間3万円もお得です!


コピー機は15万円。


どうしましょう?


元をとるための期間


一年で3万円が節約できるとして、いつまでに元を取ればいいの?

と思いますよね。


減価償却期間内に、元を取る

というのが、通常の考え方です。


減価償却期間を過ぎると、コピー機が壊れて新しく買い替えなければならないリスクも出てきますから。


コピー機の減価償却期間は5年間。


年間3万円のインク代の節約なので、

3万円×5年=15万円。


15万円のコピー機を買って、減価償却期間までに15万円節約できるということ?


ここで、考えなければいけないのが、

「今」、全額支払うんだから、将来得られるであろう利益も、「今」の価値に直して考える必要がある。

ということなのです。


現在価値はいくら?


例えば、

今1万円もらうのと、一年後に1万円もらうのと、どっちがいいですか?


今一万円もらった方が得ですよね。


だって、今一万円もらって貯金したら利子が付きますから1年後にはもっと多くなっています。



例えば、利子が年間10%つくとしたら、


今の1万円と同じ価値の1年後の金額は、1万1千円です。


今の10,000円=一年後の11,000円。


ということは、

1年後、インク代が節約できる3万円は、現在の3万円の価値はないわけです。


今の30,000円が1年後は30,000円×1.1になるとしたら、


1年後の30,000円は、今の価値に直すと30,000円÷1.1です。


もし10%の金利だったら

3万円÷1.1=27,272円

となり、1年後の3万円は、現在の価値だと27,272円にしかならないのです。



そうすると、コピー機を買って得られる利益は、

1年目が

30,000÷1.1=27,272.7


2年目が

30,000÷(1.1)²=24,793.4


3年目が

30,000÷(1.1)³=22,539  


4年目が

300,000÷(1.1)⁴=20,490.4


5年目が

300,000÷(1.1)⁵=18,627.6


となるので、

5年間の利益の総額を現在の価値に直すと

113,723円です。


つまり、15万円を支払って113,723円の価値を買うことになります。



今の日本、金利が10%もあるわけはないのですが、

「遠い将来になればなるほど、今よりも価値は減っていくと考えたほうがいい」

というお話です。


何年もかけて利益を回収する大きな設備投資、数年かけて増やす株式投資などは、こうして現在の価値に直して比べる必要があります。


その他の判断材料


  • 減価償却費は経費になるので、その分税金が節税されます。
  • もし、設備投資をするのに銀行からお金を借りるなら、その利子も設備投資をするときのコストとなります。
  • もし、補助金がもらえるなら、元を取るための基準になる金額がぐっと安くなります。


こうした利益やコストも考慮する必要があります。


ちなみに、イスラム教の国では、銀行にお金を預けても利子はつかないそうですから、現在価値に直す計算は不要ですね。