値決めは経営 ~3年目で思うこと~
私が中小企業診断士の登録を果たしたのが、令和2年11月2日。
すでに丸3年が過ぎました!
3年半は「創業期」らしいので、まだまだ創業期。
これからも頑張ります。ご指導よろしくお願いします。
価格転嫁
ところで近頃、価格転嫁の相談が増えています。
- 値上げしたいけど、できない。
- 品質を下げようか。
と悩んでいるようです。
T社長の食料品店の例
T社長の食品の専門店もその一つでした。
- 値上げしたらお客さんが来なくなるんじゃないか。
- でも、値上げしないと赤字になる。
と悩んで相談にきました。
お話を聞いてみると、仕入れて2日で売り切ってしまう方法を取っているので、とても新鮮なものをいい状態で売っています。
自分たちは当たり前だと思っているので、お客様にはそんな説明もしていません。
見ればわかる、食べればわかると思っています。
「この道40年の社長とは違うんですから、言わないとわかりませんよ」と言うと、
「うちには味がわかる人しか来ないから」
と言う具合です。
「まあ、そうかもしれませんが、値上げするんだからちゃんとお客様に納得してもらいましょう。」
ということになり、ヒアリングして細かくこだわりなどを聴き出しました。
話をしているうちに、若いお客さんに来てもらいたいと思っていることや、売り切っていると言っても、2日目は別の商品に加工していて、かなり値段が下がっていることもわかりました。
そこで、
- 若いお客さんが買いやすい方法
- まずは利益率の高い商品から、価格を下げずに売り切る方法
- お客様に値段相応の価値があることをわかってもらう説明の方法
の3つを話し合いました。
具体的なアイディアが出て、すぐに実践してくださいました。
先週の日曜日に訪問したところ、値段は結構上げましたが、お客様は増えているという結果に!
「相談して良かったよ。さすがプロだ」
と言っていただきました。へへ、それほどでも・・・(笑)
製造業では?
さきほどのお店は一般消費者に商品を売る事業をしているのでこれでいいですが、事業をやっているところに商品を卸している場合は、悩みどころが違います。
それは、取引先が値上げを認めてくれないこと。
これは、下請法という法律で規制されていますが、取引先との関係もあり、強く言えないのが現状。
値上げを行うには「取引先に原価をしっかり説明する」ということが必要です。
「うちは商品を作るためにこれだけの費用がかかっています。だから値上げせざるを得ません。」
という説明です。
説明するには、まず原価の計算をしっかりやっている必要があります。
労務費の中には、商品の製造を直接行っている従業員だけではなく、それを監督している人の賃金も含まれていますか?
労働時間を計算する時に、稼働率も考慮していますか?
取引先に原価を説明する時には、納得してもらうためのしっかりした「数字」が必要です。
大手の会社のマネをすべき?
値段を上げられない経営者の方からお話を聞くと、「大手はこうやっているから」という声を耳にします。
もちろん、大きな会社を経営している人は立派な人が多く、学ぶべきところはたくさんあります。
でも、大きな会社では、逆に地方の小さい会社で売り上げを伸ばしている会社のやり方を盗もうとします。
資金も人材も不足している小さな会社が必死で考えた方法を、豊富な資源力でマネする。
というのが普通。
小さな会社が大きな会社のやり方をマネするのはうまくいきません。
ヒト・モノ・カネの経営資源が違いすぎます。
大手をマネしてはいけない、大手にマネされるのが中小企業。
小さな会社は、小さくなければできないことをやる。
これは、中小企業診断士3年目で実感している法則です。