8月末になると、ニュースで

「7月の有効求人倍率は、1.29倍でした。」

などと発表されます。


「前月より0.3ポイント下がりました。」

と教えてくれたりします。


この数字、実は仕事を探している人だけのものではないんです。


景気動向指数とは


こういう数字は、「景気動向指数」と呼ばれます。


他にも、

「消費者物価指数」だったり、

「東証株価指数」だったり、

約30個ぐらいの数字が、毎月内閣府から発表されます。


これは、目に見えない「景気」というのを把握して、将来どうなるかを予測するためのものなのです。


「景気は予測できるの?」

と思いますよね。


「風が吹けば桶屋が儲かる」

ではないですが、社会の現象は順番に起こります。


車がたくさん売れると、自動車会社や関連会社が儲かります。


人を募集したり、工場の設備を増設したりします。


こうした社会の出来事を数値にしたのが、「景気動向指数」なのです。


先行指数



「前月より新車の販売台数が増えた!」ということは、

「沢山の人が新車を買っている。」ということ。


この「新車登録台数」は、景気動向指数の一つです。


新車登録台数が増えると自動車会社は自動車の増産を始めます。


部品を作っている工場への注文が増加したり、自動車工場の設備を増やしたり、採用を増やしたりするかもしれません。



なんだか景気が良くなる感じ。


「景気がいい」というのは、お金がぐるぐる回っている状態。


「新車が買われた」という段階では、まだお金がぐるぐる回ってませんが、なんだか「これからぐるぐる回るんじゃないか?」という予感がします。


「新車登録台数」のような指数を「先行指数」と言います。


全体の景気が動く前に起こる出来事だからです。


新しく住宅が建つ「新設住宅着工件数」なども実際の景気の動きの前に現れる先行指数です。


一致指数


一部の人が車を買ったり家を建て始めると、自動車工場や建築会社が必要な材料などの調達に入ります。


部品工場や、材木屋さんなど、いろんなところがフル稼働します。


人の募集も増えていきます。


お金がぐるぐる回ってます!



こうして実際にお金が回りだした時の指標は「一致指数」と言われます。


一致指数には、「鉱工業生産財出荷指数」や「有効求人倍率」などがあります。


例えば、

「有効求人倍率2倍」というと

就職したい人が100人に対して、採用したくて募集している会社が200社ある。

ということ。


就職したい人が100人いるのに、募集している会社が50社しかない

というよりは、ずっと景気がいい状態と言えます。


有効求人倍率が、先月より0.1ポイント上がった。

となると、

「先月より景気が良くなっているんだな」

と考えられるわけです。


遅行指数


そして、採用が多くなると、お給料をもらう人が増えます。


お給料をもらった「労働者」は、家に帰るとお店で物を買う「消費者」です。


いつも「のどごし生」を飲んでいたけど、ちょっと贅沢な「エビスビール」を選んだりします。



こういう消費者の行動は、「消費者物価指数」の変化に現れます。


消費者物価指数は、お金がぐるぐる回った結果を反映しているので、実際の景気よりも遅く反応する「遅行指数」ということになります。


景気の循環


景気には必ず波があります。



景気の山を迎えれば、次は景気の谷に向かって進みます。


景気の山がどこか、谷がいつ来るのか

というのを予測するために、毎月毎月、

景気動向指数が発表されているのです。