リスクマトリクスとは ~リスクを知って、海外展開~
日本の市場は、飽和状態。
でも、海外展開しようと思っても、リスクが気になりますよね。
そんな時は、リスクマトリクスを作成してみましょう。
リスクマトリクスとは
リスクマトリクスは、横軸に会社への影響の大きさ、縦軸に発生する頻度を置いて、考えられるリスクを置いていくツールです。
よく発生しそうだし、ダメージも大きいとものは、対応が必要。
でも、あまり発生しそうにないし、起こってもすぐに対応できそうなものは、
「起こったら対応すればいい」
と考えるのも一つの決断。
そんな風に、リスクを整理できるのが、リスクマトリクスです。
リスクのリストアップ
まず、考えられるリスクをリストアップしてみます。
一人で考えるのではなく、数名で話し合いながら出していくのがコツです。
今後、そのリストを使ってリスクの低減を図っていくので、最初からこのような表にまとめていくと手間が省けます。
海外展開のリスクにはどんなものがあるでしょう?
カントリーリスク
いくら相手国のパートナー企業との関係が良くて、商品の評判が良くても、国家テロなどが起こって通貨が下落したら商売にも大打撃。
国家テロや、政権交代、通貨の急落や急激なインフレ、宗教的な感情など、その国の政治・経済、社会環境でビジネスに影響を与えるものは、「カントリーリスク」と呼ばれます。
一般的に、途上国では発生確率が高く、先進国では低いといわれています。
経営リスク
法律の違い、為替リスク、労働条件の違いなど、海外との取引で生じるリスクは、経営リスクと呼ばれます。
十分に調査してから臨むことでかなり減らせるリスクです。
日本弁護士連合会では、海外展開支援機関と連携して相手国の企業と契約書のチェックなどの支援を行っています。
日弁連 中小企業の国際業務支援事業のページ
https://www.nichibenren.or.jp/activity/resolution/support.html
災害・事故リスク
地震、洪水などの自然災害や、現場での事故などどこでも起こりうる災害・事故リスクなどがあります。
うちは、海外に工場を作ろうと思ってもいないし、品物を売るだけだから
という場合でも、流通や、販売してくれる人やお店には影響します。
日本が地震大国だといわれるように、国によって災害の発生確率はだいぶ違います。
外務省では、逐次それぞれの国の安全情報を更新しているので、ぜひご確認ください。
https://www.anzen.mofa.go.jp/business/
こうして、考えられるリスクをリストに書き入れていきます。
リスクの数値化
リストアップが終わったら、リスクマトリクスを作成します。
縦軸に影響度、横軸に発生確率でしたね。
そして、リスクを数値化していきます。
3~5段階で書いていきますが、今回は3×3のマス目で3段階のものをご紹介します。
3段階だと、小・中・大となりますので、
影響度や発生確率が小の場合は1です。
中の場合は2
大の場合は3となります。
発生確率が2で、会社の運営への影響度が3の場合は、
2×3=6
で、リスクポイントは6になります。
このリスクマトリクスを踏まえて、先ほどのリストに発生確率や影響度、リスクポイントを入れていきます。
リスクポイントが高いものは、「回避」や「軽減」の対策を行いますが、リスクポイントが低いものは「受容」つまり放置です。
対策は、
- リスクを予防するにはどうするか
- リスクが発生したらどうするか
の2つを考えます。
例えば、海外展開を行った国で水害が起こる場合、「保険に入る」という対策をとったら、発生確率は変わりませんが、会社への影響度は下がります。
こうして、対策後のリスクポイントも入れていきます。
このように、海外展開のハードルをどんどん下げていくことができます。
チェックすべき情報源
対応策を考えるときは、海外展開の支援策を展開している組織はぜひご活用したいですね。
チェックしておくホームページをご紹介します。
チェックすべきホームページ
東京商工会議所 海外ビジネスハンドブック
https://www.tokyo-cci.or.jp/soudan/globalsupport/pdf/kaigaihandbook.pdf
外務省 海外安全ホームページ
JICA 中小企業・SDGsビジネス支援事業
https://www.jica.go.jp/priv_partner/activities/sme/index.html
JBIC 投資金融ページ
https://www.jbic.go.jp/ja/support-menu/investment.html
JETRO 海外展開支援
https://www.jetro.go.jp/services/list.html
また、
- 在日本外国領事館
- 外国政府のホームページ
- 商工会議所、金融機関、商社
のホームページを見たり
- 海外投資セミナー、来日ミッション
の機会を活用するのもお勧めです。
事前準備を怠らず、成功確率を上げて海外展開に臨みましょう。