異文化地図とは ~ビジネス環境を理解してスムーズな海外展開~
先日、観光地に行ってみたら、海外からの旅行客がコロナ前のように戻っていました。
モノも人も移動する今、異文化を理解して海外とのビジネスをスムーズにできるといいですよね。
異文化理解の第一人者、エリン・メイヤーさんによると、海外でビジネスをするときに理解すべき要素は8つ。
- コミュニケーション
- フィードバック
- 説得
- 組織
- 意思決定のプロセス
- 信頼
- 意見の対立
- スケジューリング
です。
コミュニケーション
人とコミュニケーションをとるとき、行間を読む必要があるのかないのか
で、マップを作ることができるらしいのです。
日本人は
「1から10まで言わなくてもわかるでしょ?」
という空気に溢れています。
でも、アメリカでは1から10まで説明し、何度でもわかるまで教えてくれます。
誤解がないようにすることが、一番重要だと思われています。
国の歴史が浅く、移民も多い国だということが、アメリカのコミュニケーションスタイルを作り上げているとメイヤーさんは言います。
コミュニケーションのスタイルでは、日本とアメリカは両極端なところにあります。
フィードバック
日本だったら、直してほしいところがあっても
「〇〇さん、お疲れさま。プレゼンすごく良かったよ。でもこうしたらもっといいかもよ」
など、まずは良いところを誉め、「かも」とか「多分」などの言葉を使って、ネガティブなことはオブラートに包んで伝えます。
それでも日本人はちゃんと、
そっか、あそこが悪かったのか
と気が付きます。
でも、フランス人に同じように伝えても、
「めっちゃ褒められた~♡」
で終わってしまうというのです。
だから、言ったほうにしてみると、
「気を使いながらちゃんと指摘したのに、直してくれない」
と誤解が生じます。
フィードバックに関しては、アメリカも日本寄り。
ロシアなどはフランス寄りらしいです。
説得
上司が部下に、担当してほしい役割などを伝えるとき、日本では、自分が組織の中でどんな立ち位置にいるのか、気になります。
足並みをそろえて歩くことで、組織全体がうまくいくと考えるので、ほかの人との関係性をとても重要視します。
でも、それぞれが自分が言われた役割に集中して取り組むのが、組織のためになると考える文化を持った国もあります。
そんな人が日本で働けば、日本の従業員に「利己的だ!」などと誤解されるかもしれませんが、そんなつもりはないのです。
組織
組織がピラミッドのようになっていて、縦の関係を重視する文化を持った国と、部署はそれぞれあっても、優劣はなく、みんな平等だと考える文化というのも存在するようです。
意思決定のプロセス
何かを決めるときに、トップダウンが受け入れやすいのか、皆で話し合って決めるのが好きなのか、ということにもそれぞれの国によって違うようです。
信頼
人に対する信頼の方法についても、違いがあるようです。
「あの人は素晴らしい人格の持ち主だから信頼できる」
という認知的信頼を重視する文化と、
「付き合いが長いからあの人のことは良く知っている。だから信頼できる」
という心情からくる信頼というのがあるようです。
意思の対立
意見の対立をどこまで許すかについても、差があるようです。
フランスでは、意見の対立は意見の対立、その人との関係は全く別次元の話だといいます。
でも、国によっては、意見の対立で人間関係が崩れてしまうことを恐れて「まあまあ・・そこは穏便に・・」などと口を挟んでしまう人が多い国もありますよね。
空気を読む必要のないイギリスも、対立に関しては避けたい側になるんですね。
日本が極端なところにあるとしても、すべての国がその真逆なわけではなく、似ている国、あるところでは違う国など、さまざまなようです。
日程管理
予定に対して厳格か柔軟か、スケジュールをどこまで重要視するか、というのも国によって異なるようです。
これで海外とのビジネスでかなりのストレスを味わった日本人も多いかも?
8つの組み合わせ
このように、その国の仕事のやり方は、このような8つの要素の組み合わせで構成されていると考えると、その国の人に接するときに、ある程度注意することができます。
「あなたとは、見解が全く違う。受け入れられない」
などと言われても、
「な、なんでそこまで言えるの?!」
と思わずに
「ああ、そういう文化なんだな」
と思うことができれば、ストレスを感じないで仕事をすることができます。
*参考:エリン・メイヤー 「異文化理解力(The Cultural Map)」2015 英治出版