成功循環モデルとは ~「結果を出せ!」と言われても結果は出せない?~
売り上げが落ちている!
とか
残業を減らさないと!
とか
解決すべき課題が出てきたら、達成すべき数値目標を立てますよね。
顧客の数を〇%ずつ上げていく
残業を週〇時間以下にする
などなど。
そんな目標を達成するときに、重大な注意点があるようです。
組織の成功循環モデルとは
マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授は、
結果を出そうとしてとる行動は、やることが同じでも、
「いいサイクルになる時と、悪いサイクルになる時がある」
というのです。
いいサイクルとは
結果が出るサイクルは、「関係の質」を高めることから始まります。
1 関係の質
社内のいい関係というのは、なかよしのお友達というわけではありません。
違いを認めながら、お互いに意見を言い合える関係です。
2 思考の質
意見を言い合うことで新しい意見に触れることができ、自分の思考がさらに高まります。
A「こうしたらどうでしょう?」
B「あ、そうですね!でもこんなリスクもありますよ。」
C「じゃあ、こうしたら?」
A「なるほど!」
というように、何を言っても、上司も仲間も部下も、みんなが受け止めてくれるので、積極的に考えるようになります。
3 行動の質
自発的に考えることで、自発的に動けるようになります。
話し合いが十分されていて、考え方がまとまっているので、チームワークの質も上がります。
4 結果の質
チームが自発的に動けるようになるので、自然に結果がついてきます。
つまり
社内の関係の質が高まる→思考の質が高まる→行動の質が高まる→結果がついてくる。→さらに関係がよくなる。→さらに思考の質が高まる。・・・というサイクルがぐるぐる回るというわけです。
悪いサイクルとは
でも、売り上げが下がって人件費ばかり多くなっているときに、関係性なんて言ってられません。
「まずは結果を出そう!」と叱咤激励を繰り返してしまうのが人間です。
でも、結果の質を上げることから始めるサイクルは、実は結果は出ないらしいのです。
1 結果の質
最初から結果の質を求めると、
「まずは結果を出してから言え」「どうしたら結果が出るかよく考えろ」
ということになってしまいます。
結果が出ないと聞いてほしいことも聞いてもらえないので、言いたいことも言えなくなってしまいます。
この空気の中で仕事をしなければならないのは、つらいです。
2 関係の質
言いたいことが言えないし、言っても聞いてもらえない。
こんな状況では相手を理解しようという気持ちは薄れてきます。
何を言われてもプレッシャーに感じたり、不満を覚えたりします。
人は、「何を言われたか」ではなく「誰に言われたか」で動くらしいのです。
3 思考の質
自由に意見を言えない関係だと、ほかの人の意見を聞くチャンスもなく、思考は停止してしまいます。
どうやったら課題を解決できるかな?
と考えるのではなく、
どうやったらこの場から逃れられるかな?
と考えてしまいます。
4 行動の質
思考も停止しているので、自分から行動しようとは思いません。
相手を理解していないので、チームワークも取れない。
言われたことだけ、機械的にやっつけている状況です。
こんなことでは、結果が出せるわけがありません。
結果が出ないと意見を聞いてもらえないので、関係が悪くなる。意見を出し合う状況ができなくて、いいアイディアも出てこない。思考が停止すると行動が受け身になる。
そうすると、
結果が出ない→関係がもっと悪くなる→思考が止まる→行動が結果に結びつかない→結果が出ない→さらに関係の質が下がる→さらに思考の質が下がる・・・
というサイクルがぐるぐる回ってしまいます。
まとめ
目指すべき数値目標があっても、
「まずは自由に意見を出し合おう」と言える関係性が構築されているかをチェック。
もちろん
「数値は気にしなくていいから」
ということではありません。
みんなが、「一つの課題を解決するために動いている」のが大切です。
相手を尊重して対話をすること。
同じ目標に向かって進んでいることを確認しあうこと。
すべてはそこから、なんですね!