会社にするのか、個人事業主でいくのか。


事業を始める人はまず、ここで悩みます。



悩みポイントは、

信頼性や、

自分が思い描く将来の姿、

そして、

どっちが得か?

というのもよく聞かれます。


今回は節税を、考えてみます。

税金


個人事業主と、株式会社では、支払う税金の計算の仕方が違います。


こういう場合、ああいう場合、と状況によっても違います。


今回は、秋田県仙北市に一つだけ住所がある場合。


法人の資本金は1000万円以下という設定です。



同じような規模で、同じような利益を上げている個人事業主のAさんと、会社経営のBさんの場合の所得税・法人税がどれぐらいになるか、見てみます。



どちらも大繁盛。


個人事業主が支払うのは、所得税。


法人が支払うのは、法人税。


どちらも同じように

売り上げから経費を引いた利益に税金がかかってきます。


経費


「経費」というのは、事業をやるためにかかった費用です。


事業をやるために、従業員を雇ったり、電気や水道を使うので、お給料、電気代や水道代を払います。


これが経費です。


どちらのお店も、同じような規模なので、まったく同じ経費がかかっているとします。


経費には、水道光熱費や通信費、給与支払いなどのほかにも、いろいろなものがありますが、


個人事業主の場合、この経費と認められない費用が結構あります。


個人事業主は、役員報酬がない?


大きなものでは、自分の給料、つまり「役員報酬」が経費と認められません。


個人で事業をやっているんだから、利益から税金を払った残りのお金から自分が使いたいお金を持っていけばいいでしょう。


というような考え方ですよね。


法人の場合は、社長は会社から報酬をもらっていますから、それは会社にとっては経費です。



ですから、経費の中に役員報酬が含まれます。


そして、BさんはBさんで、報酬をもらった分、所得税を支払う必要があります。


AさんもBさんの会社も、売り上げは年間5千万円。


どちらも、自分のお給料を除いた経費が2千万円、自分がもらう報酬が500万円だとすると、


Aさんの所得は

5,000万円ー2,000万円=3,000万円


Bさんの会社の利益は

5,000万円ー2,000万円ー500万円=2,500万円です。


会社組織にすると経費にできるものが増えるので、工夫次第で課税される金額を少なくすることができそうです。


税率


課税される金額が出てきたら、それに税率を掛けます。


個人事業主の場合、税率はこのようになっています。



Aさんの課税所得は、3千万円でしたので、税率は40%。

40%をかけた後、控除額を引いた金額が支払う所得税です。
 
それで計算すると、
3000万円×0.4ー2,796,000=920万4千円
となり、
個人事業主のAさんが支払う税金は、920万円です。

実際には、医療費や保険、確定申告の際の特別控除など様々な控除があるので、3千万円にそのまま0.4をかけるわけではありませんが、およそこのような金額になります。



一方、株式会社のBさんはどうでしょう?

法人税の税率は、このようになっています。



年800万円までは、15%、それを超えた部分は23.2%です。

Bさんの会社の課税される金額は2,500万円でした。

8,000,000×0.15+17,000,000×0.232=5,144,000
となり、
Bさんの株式会社が支払う税金は、514万4千円となります。

これは、株式会社が支払う税金です。

Bさんは、お給料をもらっているので、個人的にお給料に所得税がかかります。

それが、500万円だと20%かかり、427,500円が控除されるので、

5,000,000×0.2-427,500=572,500

で、57万2500円を自分の所得税として支払います。

会社の法人税と、Bさん個人の所得税を合計すると、5,716,500円



同じ利益でも、個人事業主だと所得税がおよそ920万円、会社の法人税はおよそ515万円で、それに経営者本人の所得税を足しても、およそ570万円です。




法人税と所得税だけで比べると、会社にしたほうが約350万円も節税になります。

所得税は、所得が上がっていくほど税率も上がります。

法人税は、800万円を超えてもずっと23.2%

よく、芸能人が売れてくると独立して家族を役員にして会社を作りますが、節税対策でもあるんですねー。

利益が少ないときは、所得税率が法人税率よりも小さいので、個人事業主のほうが節税になります。

また、最初に出した表のとおり、法人だと赤字で利益がなくても、定額で支払わなければならない税金が約7万円あります。

一般的には、

利益が500万円以上なら、会社にしたほうが節税になる

と言われていますが、必ずしもそうとは限りません。

頑張って経費を積んで法人税を減らしても、役員報酬が多ければ、自分の所得税が多くなってっしまいます。

いったん法人にして役員報酬を決めたら、簡単に報酬額を変えることはできません。

税金だけでなく、社会保険料も支払わなければいけないので、いろいろシミュレーションして検討することが大切です。

ざっくり調べるために、freeeの税額診断も使えますが、節税のやり方は多種多様。

税理士さんに相談すると、安心です。