突然の来客でも、「そういえばこの前お土産にもらったクッキーがあった!」なんていうことがあるとホッとしますね。


備えあれば憂いなし

と言いますが、組織の基本は、”ジャストインタイム”。

「必要なものを、必要な時に、必要な量だけ」という考えです。


”ジャストインタイム”で無駄をなくす


この「必要なものを必要な時に、必要な量だけ」という考え方をシステムに落とし込み、徹底して無駄を省いたことで、トヨタは世界屈指の企業になりました。


無駄なものを抱えずに、企業が持つ資源を最大限活用して利益を生むことができます。


もの作りだけではなく小売業界も、仕入れたものはすぐに店頭に並べ、倉庫は持たないコンビニのシステムが良いとされます。



普段はいいけど、非常事態では?


このやり方は、普段はいいのですが、コロナや戦争など前代未聞のことが起こると、たちまちその影響を受けて、売るものがない、作るための部品がない、人が足りない、ということが起こり、動きが止まってしまいます。


その時、たまたま、部品が余っていたり、時間に余裕がある人がいたら、その組織にちょっと余裕が生まれます。



ムダだと思われた在庫、時間的余裕、人員が、非常事態のショックをやわらげ、あれこれ調整しなければならない作業量を減らしてくれるわけです。


スラックとは


このような余裕や遊び、ゆるみのことを、「スラック」といいます。


時間的な余裕、予備の人員、在庫などのスラック資源が、非常事態では重要性を増します。


情報も、いざという時のために常にバックアップを取っておくというのが大事で、これは「情報の冗長性」と言われます。


「校長先生の話は冗長だ」などと悪い意味で使われる「冗長」ですが、IT業界では「冗長」は大切なんですね。


でも、スラック資源が大切だからと言って、いつ起こるかわからない非常事態に備えて、あまりに多くの余裕を抱えることは、会社の貴重な資源を日常的に無駄使いすることであり、気持ちのたるみ、ゆるみを生み出してしまいます。



緊張感を持ちつつ、予測不能な事態に対応できる組織にするために、スラック資源の管理が必要です。


発想にも、組織のスラック


そして、このスラック資源、起きてしまう非常事態へのショックを和らげるだけではありません。


この不確実で何が起こるかわからない世の中で、新しい製品のアイディアがひらめいたり、イノベーションを起こしたりする原動力になると言われています。


役割分担をキチキチとやって、その人だけしか持っていない知識や情報が積み重ねられていくだけだと、今までやっていることをただ改善するだけの人ばかりの集団になってしまいます。



いつもぎりぎりで、余裕のない人が、新しいアイディアを生み出せるかと言えば多分難しくて、仕事と関係ない人と会って話したり、趣味で感性を磨いている人のほうが、いろいろな発想をしてくれるようです。



いくら発想力の高い人材が育ったとしても、それを生かせる企業じゃないと、それこそ、巨大な無駄。


失敗しても挑戦できる社風、個人の考えや行動が大切にされて、それが組織の行動に影響を及ぼせるシステムが、予測不能な世の中に対応できる人材を育て、変革できる組織を作ります。


これからの時代、無駄も大切ですね。