「な・い・じゅ・か」とは ~作業のムダを無くす合言葉~
あるところに、おいしいアップルパイが自慢の家庭がありました。
お母さんから、その子供へ、そしてその子供へと、レシピが引き継がれています。
ある時、子供が「どうして焼くときに両端を切るの?」と聞きます。
お母さんは、「私が子供の時に、そう教わったからよ。」と言います。
だからその子供は、お母さんのお母さん、つまり自分のおばあちゃんに「どうして?」と聞きます。
すると、おばあちゃんも、「私が子供の時に、そう教わったからよ」と答えます。
だからその子供は、ひいおばあちゃんに聞きに行きます。
ひいおばあちゃんは、「使ってたオーブンが小さくて、入らなかったからよ」と答えます。
うろ覚えですが、そんな話がありました。
なるほど。こういう事って、仕事にもあるかもしれません。
作業は長年やっていると上手になり、速くなります。
でも、教えられたとおりにやっているだけだと、もしかしたら無駄な時間も積み重ねられているかもしれません。
それを改善するのが「な・い・じゅ・か」です。
「な・い・じゅ・か」とは
これは、業務改善のステップの頭文字を順番に並べたものです。
な
「な」は「無くせないか」の「な」です。
さっきほどのアップルパイでは、オーブンが大きくなった今、焼く前にアップルパイの生地の両端を切るという作業は必要ありませんでした。
私も前職で、一枚の書類をコピーして2つのファイルに綴じ、一つを別の部署の戸棚の所定の場所に置くという作業がありました。
新しく配属されてきた人に「松舘さん、これ2つにする必要ありますか?」と言われ、改めてそのファイルをどのように使っているか、担当の人に聞いてみると、「それ使ってません」と言われたことがありました。
まず、無くせるものを無くして作業を減らすところから。
い
「い」は、「一緒にできないか」の「い」です。
例えば、お惣菜を作るときに、砂糖や塩、などの調味料をその都度計っていると時間がかかりますが、あらかじめ砂糖、塩などの必要な調味料を混ぜて、そのお惣菜用の調味料を作っておけば、時間の短縮になる、みたいなことです。
事務作業でも、システムを連携することなどで、一度に済ませられれば作業が早くなります。
じゅ
「じゅ」は、「順番を変えられないか」の「じゅ」です。
例えば、
- 封筒に請求書を入れて、
- 切手を貼って、
- 宛先を書く
という作業をしている場合、
封筒に中身が入っていると、凸凹して宛先が書きにくい、
宛先を書いているときに間違えてしまうと、切手が無駄になる、
ということがあるので、
- 3.最初に宛先を書き、
- 1.請求書を入れて
- 2.住所を書く
という順番のほうがいい、となります。
一人でやる作業だと、一連の流れが見えて順番を変える判断ができますが、一つ一つの作業を別の人が担当している場合、順番を変えることを思いつくのが大変かもしれません。
全体の作業フローを見渡して考えることが必要です。
か
「か」は、「簡単にできないか」の「か」です。
その作業自体、簡単にできないかを考えます。
先ほどの封筒に宛名を書く作業、宛名シールにしてしまえば簡単です。
そもそも郵送せずに、電子データで送れば、簡単です。
ツールやシステムを活用
今は、いろんな便利グッズが売られていて、ちょっと工夫するだけで作業効率が上がったりします。
「こんなシステム、欲しいんですが」とベンダーさんに聞けば、教えてくれるかもしれませんし、ちょちょっと開発してくれるかもしれません。
今まで当たり前だと思っていた作業を、「本当に必要?」「このやり方がベスト?」と客観的に見直すことで、無駄な労力や時間が無くなり、その時間や人をもっと大事なことに、活用することができます。