キャッシュフローとは ~めっちゃ売れまくっていても、倒産することがあります~
腕のいい大工のAさん。
仲間と独立して工務店を立ち上げました。
いきなり豪邸の注文が入ります。
なんと一億円の豪邸です。
6月着工で、完成予定は半年後の12月。
やったー!!
豪邸のオーナーからは、着手金として5千万円いただきました。
残りの5千万円は、豪邸完成後に支払われます。
Aさんはさっそく従業員に設計図を書いてもらい、必要な材料を注文します。
材料は5千万かかりましたが、5千万円は残る予定。
こんな案件が、同時に3つも来ました。
材料費を支払ってもAさんたちの手元に残るのが5千万円の案件が3つ。
粗利は合わせて1億5千万円です。
やっぱり独立してよかったねー!と祝杯を挙げています。
でも大丈夫ですか?
もらった分、全部材料費に使ってますよね?
残りのお金が入るのは、半年後ですよ。
半年間、従業員の皆さんに払うお給料はどうするの?
工務店を立ち上げたときに銀行から借りたお金の返済はどうするの?
電気代はどうするの?
まったくお金がないじゃありませんか。
というように、いくら売り上げが多くても、大金が入る予定があっても、「今」お金がなければ会社は倒産です。
会社のお金の流れの状態を見せてくれるのが、キャッシュフロー計算書です。
キャッシュフローとは
Cash(現金)と Flow(流れ)でキャッシュフロー、この頭文字をとってCFとも言います。
「現金」といっても、金庫に入っているだけじゃなく、いつでも引き出せる状態で銀行などに預けているお金も含まれますので、「現金+預金」ということになります。
人の体で血液の流れが止まると死んでしまうように、会社はお金の流れが止まると倒産してしまいます。
あなたの会社に、お金はいくらありますか?
給料、材料の仕入れ、銀行への返済、水道光熱費、などなど、出ていくお金よりも多いお金をキープしておく必要があります。
お金をなるべく手元に置いておくためには、
もらうときはなるべく早く、
払うときはなるべく遅く
が原則です。
例えば、4人で飲み会に行き幹事をやった時に、全員から3,000円ずつ徴収して、支払いをカードで済ませたら、手元には自分以外から徴収した9,000円が残ります。
お店には確かに支払いを済ませていますが、実際には手元に現金が残っていますから、キャッシュフローとしては9,000円のプラスです。
もちろん、カードの引き落とし日には12,000円が通帳から出ていくのですが、この日まではお金をキープできます。
こうしたお金の時間差が、会社ではとても大切なわけです。
キャッシュフロー計算書
決算書を見ただけではわからない、実際の現金の動きを知るためのキャッシュフロー計算書、実物はこのようになっています。
細かいことはさておき、一般的にキャッシュフロー計算書は、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローの3つに分かれます。
営業キャッシュフロー
営業キャッシュフローは、事業で流れるお金です。
材料を仕入れると、現金は減ります。
これがもし、一か月支払いを待ってもらえるなら、その月の支払いの現金は減っていません。
製品が売れると現金が手に入ります。
これがもし、カード支払いだったり、月末締めの翌月払いだったりして手元に現金が入るのが1か月後なら、その月の現金は増えていません。
投資キャッシュフロー
新しい機械などを買うと、お金は減ります。
会社が持っている建物を売ったりするとお金は増えます。
これが、投資のお金の流れです。
財務キャッシュフロー
お金を借りるとお金が増えます。
お金を返すとお金が減ります。
これが、財務のお金の流れです。
キャッシュフロー計算書で会社の状態がわかる?
このCF(キャッシュフロー)計算書を見ると、会社の状態をざっくり判断することができます。
例えば、営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスだったら?
事業でお金が入ってきて、銀行もお金を貸してくれて、設備投資をして成長している状態。
例えば、営業CFがマイナス、投資CFがプラス、財務CFがプラスだったら?
事業でお金が入ってこないので、会社の設備を売り払ったり、銀行からお金を借りたりして支払いのための現金を集めている状態。
というような感じです。
会社の血液もサラサラと循環させたいですね。