ジョハリの窓とは ~自分発見のツールを会社の価値発見のツールに~
今存在しているすべての会社は、お客様に支持されてきた実績があります。
ということは、お客様に提供できる価値をしっかり持っているということです。
でも、その価値は、表面には見えてないもの、自分では気が付いていないもの、お客様もはっきりとはわかっていないものもあります。
そんな価値が会社の魅力を作っているものだとしたら、ぜひ自覚して伸ばしていきたいですよね。
例えば、その会社の良さの一つが従業員の電話の対応の良さにあったとします。
それを知らなかったら、業務効率化で電話対応業務を外部委託したり、自動応対に切り替えてしまうことも。
業務効率化したつもりが、会社の価値を失うことになったら、元も子もありません。
自社が、顧客に届けている価値が何かを知る第一歩は、人が自分を知ることにも似ているため、「ジョハリの窓」という心理学のモデルを使うことがあります。
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ジョハリの窓とは
「ジョハリの窓」は心理学者ジョセフ・ルフトとハリ・インガムが発表した「対人関係における気づきのグラフモデル」です。
ジョセフとハリで、「ジョハリ」。
バドミントンの「オグシオ」みたいなものですね。
このジョセフさんとハリさんに言わせると、人には4つの窓があるらしいです。
解放の窓
解放の窓は、公開されている自己
自分にはいろいろな面がありますが、ほかの人もわかってくれている面が解放の窓から表現されている自分です。
他人が、「あなたってこうだよね」と思っていることと、自分が「私ってこうだよね」と思っていることが一致していると、楽ですよね。
そういう面が多いほど「自分のことわかってもらってる」、と安心してコミュニケーションをとることができます。
この解放の窓を大きくすることに向かうのが、ジョハリの窓を考える目的でもあります。
盲目の窓
盲目の窓とは、相手からは見えているけど自分では自分が見えていない自己のことです。
「そこは、自分でも気が付いていなかったな。盲点だったな。」
というのは、いくら自分で一生懸命考えても絶対に思い浮かびません。
人とのコミュニケーションで初めて気が付きます。
秘密の窓
秘密の窓は隠されている自己ですから、自分が打ち明けなければ、相手には知られない自分です。
秘密の窓が大きいというのは、「隠し事が多い」とも言います。
思い込みで話を進めてしまうため、相手との「認識のズレ」が広がりやすくなります。
未知の窓
未知の窓は自分も気が付いていないし、誰にも知られていない自己です。
「まだ知らない自分」に気づくことは、自己成長のチャンス。
盲点の窓と秘密の窓を小さくして、開放の窓を大きくすると、未知の窓に気づけると言われています。
「このイラストいいね。だれが描いたの?」
「私ですけど」
「〇〇さんって、絵が上手!」
「えっ?そんなことないですよ」
「色遣いがとてもいいよね」
「あ、そう言えば、色遣いで褒められたことあったな」
というように、対話を重ねていくと、相手も知らなかった、自分も気が付かなかった面が掘り起こされたりします。
これを会社の価値に当てはめると
解放の価値
これが、実際に周りと自分の会社の共通認識となっている会社の価値。
会社側も「うちの子供服は低価格で品ぞろえが豊富です。」という価値を発信し、お客さんも「あそこの子供服は、低価格で品ぞろえが豊富よねー」と認めている部分です。
盲目の価値
この会社が当たり前にできていることでも、他の会社ではまねできないこともあります。
「〇〇のお店って、通路が広いから三密を避けられるのよねー」とお客さんのほうが思っていても、会社側はその価値に気が付いていないこともありますよね。
ベビーカーを押しやすいように、お孫さんとおばあちゃんが一緒に買い物できるようにと思ってレイアウトしたお店が、実は感染症対策にも役立っていた!というように。
自社の価値を周りから知ることで、自分の会社のいいところを掘り下げるきっかけになります。
秘密の価値
秘密の価値は、もちろん営業秘密として自社だけで育てていきたい価値もありますが、特に秘密にしてるわけでもないのに、十分に届けられていない価値もあります。
専門的過ぎてうまくお客さんに説明できない、発信しているつもりでもうまく伝わっていないという価値があったら、もったいないですね。
未知の価値
会社も周りも知らないけれど、潜在的に会社が持っている価値です。
これは、新しい会社の価値の創造につながります。
信頼がおける専門家などと深い対話を重ねるうちに、「あれっ?もしかしてうちの会社って、ベテランの〇〇さんのおかげで、人を育てる力がある?」
などと、会社の潜在的な価値が浮き彫りに。
会社を発信する、周りの声を聴く、ということで、秘密の価値や盲目の価値、未知の価値が「解放の価値」に移行し、その価値を育てていくことが、会社全体の価値を高めていきます。