泥棒に入られないように、窓にもドアにも二重ロックを取り付けて万全に対策したと思っていても、一か所の窓が全開だったら、すべての苦労が水の泡ですね。



このように一つでも欠けると、すべてがその欠けたところのレベルになってしまうことを、

「ドベネクの桶」

と言います。


ドベネクの桶とは


野菜の栽培などに使われる化学肥料。



これを発明したのは、「農芸化学の父」リービッヒです。


リービッヒは、植物に必要な栄養素である「窒素」・「リン酸」・「カリウム」の配合に注目。


いくら「窒素」と「リン酸」を沢山入れたとしても、「カリウム」がちょっとだと、その「カリウム」分だけしか「窒素」と「リン酸」が使われず、あとはムダ。

ということを発見します。


これが「リービッヒの最小律」




これを聞いた人たちは、

なるほど!

平均値じゃなくて最小値が大事なことって、他にもいろいろあるよね!

などと言い出します。


それを聞いたドベネクが、

「要するに桶(おけ)だな!」と発言。


桶は、たくさんの板がしっかりとはまって、同じ高さになっているからこそ、そこまで水を貯めることができます。



板の高さを全部30センチにすれば、30センチの高さまで水を入れることができます。


でも、その中のたった一枚を10センチにしただけで、桶には10センチまでしか水を入れることができなくなってしまいます。



うまいこと言うなあ、ドベネク。


というわけで、「ドベネクの桶」という言葉が生まれたとか。


このドベネクの桶の理論で説明されることの一つに、情報セキュリティ対策があります。


情報セキュリティ対策で大切なこと


今や「情報」は世の中で一番価値の高いものの一つになっています。

だから狙われる。

物の盗難にも、
  • ピッキング
  • ドア錠破り
  • ガラス破り
  • 乗り物盗
  • ひったくり
など、いろいろな種類があるように、情報の盗難にもいろんな種類があります。

情報の盗難


マルウェア


犯罪者が作ったソフトのこと。


間違えてパソコンに入れてしまうと、中でデータを書き換えたり、情報を盗んだりします。



端末の紛失・盗難


これは、泥棒じゃなくて自分が、タクシーや電車での置忘れることです。


重要情報の盗聴


フリーで使える公共のWifiは、誰でも回線にアクセスできます。


こんなところで重要な情報をやり取りしていたら、喫茶店で大声で秘密の会話をしているようなものなのです。


不正アクセス


これは、管理者じゃない人が、どこかからパスワードなどを入手して、システムを操作すること。


ホームページなどを勝手に編集します。


情報の盗難を防ぐためには、


大切な情報を盗難から防ぐためには、


  • セキュリティソフトを入れる
  • アップデートを自動的に行うよう設定する
  • 変なお知らせをクリックしない
  • 仕事で使うパソコンにダウンロードできるソフトは、会社で決めておく。
  • ソフトをダウンロードするときに、開発会社をチェックする(偽物に注意)
  • パソコンに大事な情報を入れない。
  • wifiは、PWをつける。フリーwifiに接続しない。
  • メールで重要なデータを送らない
  • 限られた人以外に、権限を与えない。


という対策が必要です。


何か一つでも、誰か一人でも、セキュリティ対策の桶の板を低めてしまうと、情報が桶から流れ出ることに。


情報セキュリティやコロナ対策など、ドベネクの桶はいろんなところにありそうです。


短い板を非難しても、何も解決されません。


板が短くならないようにするにはどうしたらいいか、短い板があったらどうしたらいいか、などを考えて対策することが大事です。