お店も忙しくなってきたし、従業員を増やしたいな。


でも、お給料払って利益が減るのも嫌だしな。


と考えたとき、いくら売り上げを出したらお給料を払えるか計算出来たらいいですよね。


「従業員に月20万円お給料支払うんだから、今の売り上げを月20万円増やせばいいんでしょ?」



1日に50杯のラーメンを売り上げるラーメン屋を営むAさんは、そう考えました。


ここのラーメンは、1杯800円です。



月額20万円の給料を支払うのに、必要な売り上げは?


20万円分ということは、800円のラーメン250杯分。


さて、実際に従業員を雇い、今までより250杯分多く売ることができて、お給料を支払おうと思ったら、

えーっつ!足りない。



なんで???


変動費と固定費


ラーメンが50杯売れようが100杯売れようが、換気扇はつけっぱなしだし冷蔵庫は動いています。


電気代とか、お店の家賃とか、今までとなんら変わらないのです。


でも、ラーメンの麺、割りばし、卵、チャーシューなどは、ラーメンを売れば売るほど出ていくお金です。



これがあるせいで、「お給料分売上を上げればOK」とはいかなくなるのです。


ラーメンが売れようが、売れまいが、同じようにかかる家賃のような費用は「固定費」と呼ばれています。


家賃のほかにも、保険料や正社員のお給料などもこの中に入ります。


コロナでお客さんが来ないのに、お金が出ていくのは、この「固定費」が原因です。


これは、何が何でも出ていくお金。


この分だけは稼がないと赤字になってしまいます。


そして、ラーメンが売れたら売れた分だけ出ていく割りばしや麺のような費用を、「変動費」といいます。


もし、ラーメンを作る材料が「ただ」だったら?


もし、なんか知らんけど、毎朝お店の前にラーメンの材料が置かれていたら、固定費分の売り上げがあれば、赤字になることはありません。


でも、そんなことが無ければ、売り上げの一定の割合は、変動費として出ていくことになります。


ラーメン1杯800円で、その1杯を出すための材料や割りばし分の費用が320円だとすると、ラーメンの値段の40%は変動費ということになります。


ということは、ラーメン1杯売れると、値段の60%が利益です。



だから、お給料20万円を従業員に渡すために増やさなければいけない売り上げは、



となり、20万円×10÷6=33.3万円の売り上げがあって初めてお給料分の20万円が捻出できることになります。


損益分岐点売上高とは


先ほどは月のお給料分を支払うための売り上げだけを計算しました。


これと同じ方法で、

年間どれだけの売り上げを出せば、営業利益が黒字になるのか?

を知りたいときは、上の式の「20万円」の部分を固定費の全額にすればいいのです。


これで出てきた数字は、「それだけの売り上げがあれば、とんとんだ」という時の売上金額です。


これを、損益分岐点売上高といいます。


会社にかかる費用を、「変動費」と「固定費」に分けると、赤字と黒字の分岐点を出すことができるのです。


「とんとんじゃなくて、100万円の利益を出したい」


というときは、上の式の「20万円」の部分を、「固定費+100万円」にすればいいのです。


こうして、年度の目標売上高を設定していくことができます。


変動費の費目は?


変動費は「この費目は変動費」と決まっているわけではありません。


例えば、月に一回、一斉にチラシをまいているお店なら、その広告宣伝費は固定費です。


お客さんが来ても来なくても、出て行ってしまう経費ですから。


でも、お客さんが予約するたびに、予約サイトにお金を支払うシステムになっていたら、その広告宣伝費は変動費になります。



チラシも予約サイトも両方やっているなら、「広告宣伝費の〇〇%は変動費、△△%は固定費」となります。


まずはざっくり、自分の会社の変動費は何かを決めるところから始めてみませんか?