私の財布の中には、いつもチラシから切り取ったクーポン券が。


今は、スマホでダウンロードできるクーポン券も増えました。


妹には「みみっちい」と言われます。


使ったことがないんだそう。


「なんで?」と聞くと、「めんどくさいから。」という回答が。


めんどくさいクーポン券


わざわざハサミを出してチラシから切り取ったりする手間、アプリをダウンロードする手間を考えると、「別に使わなくてもいいや」となるらしいのです。



「せっかくクーポン券を出すなら、もっと使いやすくて便利なものにしたら?」とお店の人に提案したくなります。


でも実は、この「使いにくさ」がクーポン券の作戦なのです。


クーポン券の作戦


例えば卵が1パック200円。


スーパーのチラシには、50円引きのクーポン券が!


チラシからハサミでクーポン券を切り取って行けば、卵は150円です。


クーポンを持ってる人は150円、持ってない人は200円で同じ卵を買うわけです。




お店の人にしてみたら、やっぱり卵を200円で売りたいです。


でも200円だと高いと感じる人もいるかもしれません。


生鮮食品なので、できれば早く売り切りたい。


そんなとき、

  • 200円でも買いたい人は200円で買う。
  • 200円だと高いと思う人は150円で買える。

ということを可能にするのが、この使いにくいクーポン券なのです。


つまり、同じ品物なのに、2つの価格を設定することが可能!というわけです。


使いやすいクーポンだと、200円で卵を買える人も150円で買っちゃいますから、それを避けるために、わざわざめんどくさくしているというわけです。



やるなあ、クーポン券。


クーポン券を使えば、お店側が「あなたには200円」、「あなたは150円にまけてあげる」と、その人に合った価格交渉しなくても、買う側の人が自分から納得いく価格で買っていってくれます。


モノの値段は一つじゃない


世の中を見渡すと、このクーポン券作戦のように


同じ商品だけど高く買う人には高く、安く買う人には安く、


というものは他にもたくさんあります。


学割、シニア割引なども、そのひとつ。



学生さんやお年寄りを励ますためにサービスしているのかと思いきや


価格に敏感な学生さんやシニアの方が、お店から足が遠のいてしまうのを防ぐ作戦だったというわけです。


一つのものを売っているのに、買う人によって価格を変える作戦は、デジタルの世界でかなり進化しています。


「課金」というシステムです。


例えば、ゲーム。


もともと無料ですが、

  • 広告を消すためには100円
  • 武器を手に入れるには200円

というように、お金を払えばゲームがもっと楽しめる構造になっています。



絶対に課金しない主義の人から、ゲームに勝つために湯水のようにお金を使う人まで、課金パターンは人それぞれ。


インストールするゲームは一つですが、それにどれだけお金をつぎ込むかは、その人の自由です。


一つのゲームを、無料で使う人もいれば、何十万円も出して使う人もいるわけです。


モノの値段は、一つじゃないんですね。


お店の経営者なら、一つの商品の前で、「この商品、いくらにしようかな?」と価格設定に悩むこともあります。


そんなとき、この「クーポン券」や「課金システム」のように、いろんな価格設定ができないか、考えてみるのもいいかもしれません。