小規模企業共済とは ~個人事業主も退職金をもらいましょう~
私も一年前にこの仕事を始めましたが、個人事業主になってみると、老後がめちゃめちゃ不安です。
退職金がない、これは怖いです。
そんな個人事業主のための退職金積立制度が、「小規模企業共済」です。
小規模企業共済制度とは
小規模企業共済制度は、退職金がもらえない個人事業主のための制度
仕事を辞めた時のために、自分への退職金をお給料の中から少しずつ積み立てるわけです。
名前の通り、小規模企業(従業員20名以下)の役員も利用できます。
会社を息子さんに継いでもらう
というような時、
社長の退職金としても使えます。
制度が複雑なので、今回は個人事業主の方をメインにお伝えします。
積立貯金や、iDeCoよりいい?
退職金を積み立てる?
それなら積立貯金でいいじゃん
とか
iDeCoがあるよね
と思いますよね。
言ってしまえばこの制度、
積立貯金よりも利率がよくて、iDeCoみたいに税金も優遇されて、iDeCoより安心
というようなものなのです。
積立貯金よりも利率がいい?
ちょっとややこしいことに、この共済は解約するときの理由で戻ってくる額が変わります。
解約の理由として挙げられているのは次の3つ
- 共済金A
- 共済金B
- 準共済金
これは、加入するときの商品の名前ではなく、解約時の理由の名前です。
共済金A
個人事業主をやめたとき、つまり退職のときにもらうと、「共済金A」
万が一、この事業主さんに不幸があったときも、同じです。
例えば月に1万円ずつ、5年で60万円を積み立てると、5年後に退職したとき621,400円戻ってきます。
共済金B
15年間掛け続けて、65歳になったときに、退職はしないけど年金としてもらうと「共済金B」
この時は、同じように1万円ずつ5年間積み立てて、戻ってくるのが614,600円です。
準共済金
その他の理由で解約する時が「準共済」となります。
滞納が続いてやめざるを得ないときや、個人事業主だったけど大きな会社組織にするので加入者の条件から外れる、などもこちらです。
この時は、20年間払い続けないと元が取れません。
最初からこの可能性がある人は、この共済は選択肢から外したほうがいいかもしれません。
下の表が、一万円ずつ積み立てたときのシミュレーションです。
銀行などの積立貯金よりも利率がいいですよね。
小規模企業共済は、毎月千円から500円刻みで7万円まで、毎月の積立額を設定できます。
積立額の変更もできます。
所得控除ができる?
iDeCoもそうですが、この小規模企業共済に積み立てたお金は、確定申告の時に課税される所得の総額から控除できます。
下の表は、いくら節税できるかをまとめたものです。
長い目で見ると、かなりの節税になります。
iDeCoより安心?
iDeCoは、投資信託、預金、保険などいろんな商品から自分が投資したいものを選んで積み立てる方式ですよね。
将来、小規模企業共済よりも多く得られる場合もありますが、そうじゃない場合も。
いくら戻ってくるか全然わからないのが、投資商品です。
今回の積み立ての目的は、あくまでも
仕事を辞める時に退職金を得る
ということです。
となると、退職するときいくら戻ってくるかわからないiDeCoよりも、
15年後は200万円になる
というように、はっきりわかっている小規模企業共済のほうが安心ですね。
受け取るときも税金が優遇されている?
積み立てたお金を受け取るときは、一括で受け取る方法と、分割で受け取る方法などが選べます。
一括で受け取る→退職金と同じ
一括で受け取った時には、退職所得の扱いになるので、会社で退職金を受け取った時の課税方法と一緒です。
分割で受け取る→年金と同じ
分割で受け取ったときは、雑所得に分類されるので、年金を受け取った時と同じ課税方法になります。
どちらも、通常の事業所得より税金の支払いは少なくて済みます。
お金が必要になったとき、解約しなくていい?
共済に入っているけど、お金が必要になった!解約しようかな?
という事態が発生したとき、解約しなくても積み立てた金額の範囲内で、低金利の貸付制度が利用できます。
具体的な説明は、こちらです→中小機構 小規模企業共済の貸付制度
最後に
この制度は、節税しながら将来のためにコツコツと退職金を積み立てる人のために、つくられた制度。
途中でやめたりすると、損をする場合もありますので、注意が必要です。
こうした制度をうまく利用して、個人事業主の老後に備えましょう!