2021年も、たくさんのイベントがコロナで中止されました。


マラソンもその一つですが、GPSのスマホアプリを使って好きな場所を走る「リモートマラソン」を実施した市町村もあります。


2週間ぐらいの期間が設けられ、その間にハーフマラソンの距離をクリアすればOKで、タイムの計測は無し。というものです。


私が今まで参加していた長野県駒ケ根ハーフマラソンも、リモートになりました。


「なんだ、リモートか。誰にも会えないし、つまらないな。」

とは思ったのですが、


送られてきた案内に、いつものマラソンでは見たことがない

「都道府県別に、一番長い距離を走った人を表彰」

の文字が!。


「ウシシ、秋田県から長野県のマラソンに参加する人なんて私だけ。これは私がもらった!!」

と、不純な動機でエントリーしました。



そして、期間中にハーフマラソンの距離(21.0975km)を少しだけ上回る21.6kmをクリアして、都道府県別の表彰を楽しみに待っていました。


ところが!

なんと、私の10倍の215.8kmも走った秋田県民がいたのです。


どういうこと??



今まで、地元長野県民がメインで、のこりは近隣の都府県で占められていたマラソンが、リモートになった途端、42都道府県から参加者がいたらしいのです。


通常の駒ケ根マラソンは

私のように

  • ロードサイドの応援が楽しみ
  • 友人と一緒に走れる
  • エイドステーションで出されるおやつが楽しみ
  • 観光気分できれいな景色を走れる

という動機の人が多いと考えられます。




でも、リモートマラソンとなると

  • 目標づくりができる
  • 日頃の訓練の成果を試せる
  • 記録を残せる
  • 賞がもらえる

というのが動機になります。

そして、別に現地に行くわけではないので、土地にはこだわりがない。



そんなわけで、日本全国からツワモノが、各地のリモートマラソンをまとめたサイトを見て、応募したわけです。

リモートにすることで、いつもとは違った層にアピールすることになり、そこからの参加者を集めることができたんですね。

新市場開拓戦略とは


ビジネスでも、「新市場開拓戦略」と言われるものがあります。

缶コーヒー×キャラクターファン


例えば、

ダイドーブレンドの缶コーヒーは、
「俺は、これがないと一日が始まらない」
という「ダイドーブレンドの缶コーヒーファン」に支えられています。

ところが、昨年から今年の初めにかけて、缶コーヒーファン以外の人が、たくさん缶コーヒーを買い、その数なんと1億本に達しました。

今まで年間5,000万本の売り上げだったのに、それまで缶コーヒーなんか買ってなかった人たちが1億本を買ったので、一気に売り上げ3倍になったわけです!

その1億本を買った人たちの正体は、「鬼滅の刃ファン」です。


人気アニメ、鬼滅の刃のキャラクターをあしらった缶で、今まで缶コーヒーを買わなかった層に、缶コーヒー売ることができました。

粉ミルク×大人


そして、粉ミルクといえば、赤ちゃん、ですよね?

でも、赤ちゃん用に粉ミルクを作っていた「森永」が、大人用の粉ミルクを作って売り上げを伸ばしました。

少子高齢化で赤ちゃんが減っているといっても、粉ミルクの需要は大人にもあったということです。

赤ちゃんだと、一人に何種類もの粉ミルクを飲ませるわけにもいかないし、
赤ちゃん人口も減る一方で、頭打ち。

でも、大人をターゲットにすると、カルシウムやたんぱく質、その他あれも、これも、年齢によって低下していく栄養素を補える機能的な粉ミルクを、いろいろ買ってもらうことができます。


今ではいろんな企業が「大人の粉ミルク市場」に参入し、

動機息切れのための粉ミルクが「救心」からも出ているほど。

ピンチをチャンスに


今回のマラソンのように、今までのマラソンの参加者の層を考えると、「集まることができないから中止」という選択肢もあります。

でも、マラソン好きの人がみんな、集まって走りたいわけではありません。

それ以外の人をターゲットに、「リモートで大会をやる」という選択肢もあります。

今回のリモートマラソンの参加者には、駒ケ根市の観光パンフレットや特産品が届きます。

コロナじゃなかったら駒ケ根市を知らなかった人に、駒ケ根市を知ってもらう効果が期待できます。