マーケティング用語には、「ニーズ」と「ウォンツ」があります。


どちらも「欲しい!」ではありますが、別物です。


これを勘違いすると、顧客の「欲しい!」に応えることができません。


今回はこの2つの「欲しい!」について解説します。


青汁から考えるニーズとウォンツ


新聞の折り込み広告に

「健康青汁売り上げ1億包突破!」

なんて書いてあります。


青汁の市場は1000億円とも言われますが、それほど日本人は、青汁が大好きなのか?


AさんとBさんの会話を聞いてみます。


Aさん「青汁そんなに好きなの?」
Bさん「別に好きじゃないけど」
Aさん「じゃあ飲まなきゃいいじゃん」
Bさん「だって、一日で取らないといけない野菜の量は350グラムで、そんなに取れてない気がする」



つまり、Bさんは、

「必要な量の野菜が取れていない気がする不安を解消したい」

というニーズがあり、それを解決するために、青汁を飲んでいることがわかります。


この時の青汁は、「ニーズ」ではなく、「ウォンツ」です。


ニーズを満たすための手段が、ウォンツなのです。


「必要な量の野菜が取れていない気がする不安を解消したい」

というニーズに応えられるものなら、青汁じゃなくてもいいわけです。


野菜ジュース、サプリメント、お惣菜、冷凍食品などなど、いろんなウォンツが考えられます。


青汁もコーヒーも同じ「飲み物」ですが、人が求めるニーズは全然違います。



青汁を作っている会社は、コーヒーを作っている会社のようには味や香りを追及しません。


青汁を飲む人のニーズにこたえるために、味は「飲みやすい」ぐらいで妥協。


乳酸菌を入れたり、体脂肪を減らす成分を入れたり、健康に対する不安を解消するための機能を追加することに開発費をかけます。


そして、それをバンバン宣伝するのです。


実は、この

「必要な量の野菜が取れていない気がする不安を解消したい」というのは、消費者も気が付いているニーズ。


もっと深いところに、消費者自身も気が付いていない「隠れニーズ」があるようです。


潜在的なニーズとは


心理学者のアドラーは、

「どんな問題も、突き詰めるとすべて人間関係だ。」

と言っています。


  • 友達や家族と楽しい時間を過ごしたい
  • 家族に迷惑をかけたくない
  • 恋人に褒められたい
  • 子供の笑顔が見たい

などなど。



すべての問題が人間関係なのかはわかりませんが、

「人間関係のニーズを解決するために、人はモノやサービスを買っている」

と言われると、思い当たる節もあります。


ウォンツは変化する


人間関係の悩みなんて、太古の昔から存在します。


そう考えると、本質的なニーズは大昔からそんなに変わってないかも。


でも、人を取り巻く環境がどんどん変わるから、「ウォンツ」はどんどん変化します。


「女性にモテたい」というのは、太古の昔から男性のニーズです。


寡黙で男らしい人がモテた時代もありますが、今は同じ話題で盛り上がれる人、楽しい人がモテます。



そうなると、ウォンツは変わってきますね。


人気のある商品は、どんなニーズを解決しているのか?


自分の会社が得意な分野で、そのニーズにこたえることができないか?


と、考えることで、消費者に刺さる商品やサービスを提供することができます。


今、コロナ後のニューノーマルという新しい暮らし方が出てきました。


また新たなウォンツが必要となっているかもしれません。