5Sとは ~業務効率化のスタート地点~
「業務効率化」というと「どんなITツールを使えばいいの?」という話になりがちですが、まずその前に、5S(ゴエス)です!
5Sとは
「5S」の5つの「S」は、「整理」、「整頓」、「清掃」、「清潔」、「しつけ」をローマ字表記した時の頭文字です。
単なる片付けとは違い、モノに役割と立場を持たせる行為です。
通常、5Sはモノを対象としています。
この5Sを、「モノ」だけでなく「シゴト」にも応用しようというのが、「仕事の5S」です。
まずは、モノの5Sから。
整理(Seiri)
5Sは、整理から始めます。
整理とは、ずばり「捨てる」こと。
必要なものと不必要なものを区別し、不必要なものは処分。
必要なものだけに囲まれて仕事ができます。
整頓(Seiton)
必要なものだけになったら、そのものに「住所」を与えます。
置き場所を決めて、その場所が一目でわかるようにします。
下の写真は、扶桑工業株式会社の事務用品置き場。
必要なものが必要な時にすぐに使え、無くなったらすぐにわかるようになっています。
清掃(Seisou)
清掃というのはきれいに保つことです。
いつも最善の状況でそのモノが使えるようにするためのメンテナンスも、この中に含まれます。
清潔(Seiketsu)
「清潔」は、以上の「整理」、「整頓」、「清掃」を繰り返すことです。
必要なものだけが、使いたい時に、すぐに使える状態が続きます。
しつけ(Shitsuke)
上の状態が続くようなルールが守られていくようなしくみを作ることです。
と、いうのは簡単ですが、ずーっと継続していくのは結構大変ですよね。
診断士の研修の時、先生がおっしゃってたのは、「社員1人の担当は、A3用紙1枚分。」
「えっ?A3用紙1枚分だけですか??」
2回も聞き直してしまいました。
それぞれの社員が担当するA3用紙1枚分のスペースが、数か月間きれいな状態に保たれるように訓練。
うまくできなかったら、その原因を追究して改善。
うまくできたら、次の新しいA3スペースを担当。
という具合です。
これならできそうです。
5Sが守られれば
「あれどこだっけ?」と探し回ったり、
人に聞きまわったり、
見つからなくて新しいのを買ったり、
見つかって使おうと思ったら壊れていたり、
ということが無くなるので、快適。
仕事の5S
この5Sは、何も「モノ」に限ったことではありません。
仕事でも5Sが実現できれば、無駄な仕事をしなくて済み、最高のパフォーマンスが発揮できます。
整理(Seiri)
A事業はやめて、B事業に特化する。
など、常に事業のパフォーマンスを見ながら取捨選択を繰り返すのは、まさに経営者の仕事。
でも、いらない作業、いらない習慣、いらない会議などの整理にはなかなか時間が取れません。
モノなら、使われないでほこりをかぶっていれば「いらないね」と判断できます。
でも、仕事の場合、今実際に行われていることが、不要か必要かを判断することになるので、何も考えなかったら、ずるずる続けてしまいそうです。
「その作業、今までの過去はさておき、現在、そして将来、費やす時間やエネルギーに見合った価値があるのか?」
と考える必要があります。
政府は「脱ハンコ」をすすめ、省庁ではびっくりするぐらいハンコを押してない状態です。
脱ハンコを進めた大きな理由の一つは、ペーパーレスやテレワークなど、これからの働き方にハンコが支障になるから。
会社でも、今までの慣習をそのまま続けることで、それが支障になって新しいことができないという状態があるかもしれません。
一つ一つのタスクを、「メリットとデメリットは?」と思考する習慣をつけることは大事ですね。
整頓(Seiton)
無駄な作業がなくなったら、
その作業が、他の作業とどうかかわっているのか?
作業の順番はこれでいいのか?
などを考えて作業の流れを再構築。
職員の仕事量なども俯瞰して、ばらつきを改善します。
ばらつきが改善されたら、一つ一つの作業の立ち位置を決めて、今どこまで進んでいるのか、状況が一目で分かるようにします。
清掃(Seisou)
一つ一つの作業が、いつも最善の状態で行われるように、環境を整備します。
作業する人の理解度を深めたり、作業がうまくいくような研修やマニュアル作りも、ここに入ります。
清潔(Seiketsu)
上記の「仕事の整理」「仕事の整頓」「仕事の清掃」を繰り返すことです。
価値のある仕事だけが、どこまで進んでいるか誰にでも一目でわかり、いい状態で次の作業に引き継げる状態になっています。
業務を取り巻く環境は次々に変化していくので、PDCAを回していくことで、最良の状態をキープします。
しつけ(Shitsuke)
仕事の5Sも、モノの5Sと同じように、意識が浸透しないと、どこかで停滞してしまいます。
- ITを活用して負荷を軽くする。
- 「5Sでこれだけ業績が上がった」という結果がデータでわかるようにする。
など、5Sがぐるぐるまわっていくようなしくみづくりが大事です。
仕事の5Sに取り組むことで、人が主体的にかかわって仕事をコントロールしている状態にに。
それからITを導入することで、無駄なシステムを入れなくても済みます。