女性も男性も、仕事も暮らしも子育てもシェアできる社会を目指そう


そのために仕事をしながら大学院でも学び、経験と知識の両方を獲得した麓さんは、仕事でも日経BPの執行役員となり、文部科学省、内閣府などの有識者委員などとしても、発言力を強めていきます。


すべての人の尊厳が守られる社会を


そんな時、生まれたお孫さんに知的障がいがあることがわかったのです。


障がい者の家族という当時者になり、初めて自分が「障がいを持つ人」に真剣に目を向けていなかったことに気が付きます。


この子の尊厳がずっと守られながら、生きがいを持って生きてほしい。



と思ったとき、どんな社会だったらそれが実現できるだろうと考え、福祉の勉強を始めます。


54歳で社会福祉士の資格を得た麓さんは、57歳で日経BP社を退職し、地元大館市に戻り、地域共生社会の拠点づくりをはじめたのです。



地域共生社会の拠点 比内ヒルズ  


麓さんは自分が生まれ育った小高い丘を「比内ヒルズ」と名付け、共生社会の拠点とすべく活動しています。




比内ヒルズには、障がいのある方が働いて工賃を得ながら就労訓練を行うことができる就労継続支援B型事業所「比内ヒルズ ふもとの家」があります。


「A型」と違い、雇用契約を結んだ上で正社員として働くことが難しい方でも、仕事をして工賃を得ることができるのが、「B型」の特徴です。


作業の内容


  • 種から大根を植え、育て、収穫。そこからいぶりがっこも作っています。
  • そして、そば粉100%のお蕎麦もつくり、「比内ヒルズ カフェふもと」で提供。
  • 天然記念物の比内鶏も卵から育てていて、その卵で卵焼きをつくり、おそばの付け合わせに、手作りのいぶりがっことともに提供しています。
  • おっと、子供たちのアイドル、ヤギのアイちゃんの飼育も忘れてはいけません。


単純な作業をするだけでなく、種からいぶりがっこ販売、卵から卵焼き提供など、一連の流れがわかるものは、自分の仕事の意義がわかって、やりがいにもつながります。



生き物を育て、土と接し、収穫の喜びが味わえるふもとの家で、講演や執筆活動もある中、麓さんは障がいのある方と一緒に、カフェを切り盛りしているのです。


オルタナティブな場所


性差や年齢、障がいの有無に関係なく活躍できる社会をつくりたいと願う麓さん、


このふもとの家をオルタナティブな場所として位置付けたいと思っているそうです。


「女性はこうあるべき」「社会はこうあるべき」「人はこうあるべき」のような見えない枠の中で可能性を狭められ、自分の能力を発揮できずに苦しんだり心を傷つけられてしまった人たちが、「あなたはあなたのままでいい」と受け入れてもらって力を発揮できる場所に。



市長選にチャレンジする


そして、どんなひとでも尊厳を保たれ、自分の持っている能力を発揮できる共生社会をつくるために、大きなチャレンジを決意します。


大館市長選挙に挑戦したのです。


市長の仕事は、市民が安全・安心に暮らせるように、市の仕事の計画を作ったり、税金の使い方を決めたりすること。


こちら側に立って地域共生社会を実現しようと、Uターン直後の立候補でした。



帰郷後50日間の活動でしたが、明確なビジョンと使命感、情熱、そして無私な姿勢を持つ麓さんは、共感を得るたくさんの方たちに支えられ、全投票数の40%弱を獲得する大健闘をみせました。


政策を決める場に人口の半分を占める女性がいなければ、社会は良くならないと考えて、「大館市の未来を創る会」も立ち上げて活動しています。


この行動力、ほんとうにすごい。


麓さんに会える場所


麓さんは、今まで積み重ねられた経験や知識、ネットワークなどを生かしながら、大館で共生社会の実現を目指して活動されています。



今まで出会ってきたさまざまなことから自分の使命を感じ、それを実現しようと日々を過ごしている姿は、本当に素敵です。


そんな麓さんにに会いたい方は、ぜひ「比内ヒルズ カフェふもと」を訪れてみてください。


元気と刺激がもらえますよ。


比内ヒルズ カフェふもと 



営業日 月曜~土曜 営業時間 11時半から14時まで

大館市比内町扇田字長岡45番地

比内ヒルズ ふもとの家