年金のはなし ~人生のリスクを自分で克服する時代?~
先日も、友人と「年金いつからもらう?」という話題で盛り上がりました。
誰にもわからないのが、「いつまで生きるんだろう、私」ってこと。
先々がわからないことを経済用語では「リスク」と言います。
例えば「2024年1月1日12時に会社が債務不履行に陥ります。」
と、確実にわかっていたら、大きなダメージではありますが、「リスク」とは言いません。
リスクというのは、「不確実性」のこと。
そのことからいうと、「いつまで生きるのか」は「リスク」です。
それをある程度解消してくれるのが「年金」ですよね。
いつまで生きるかわからないのに、死ぬまで定期的に決まった額を通帳に入れてもらえるんだから助かります。
年金は本来「働けなくなってもまだ生きている時のための生活費」ということだとは思いますが、元気なうちにもらわないとつまらないという気もします。
年金の損益分岐点とは
年金は60歳から75歳まで、もらう時期が選択できます。
早くもらえば減額されてしまい、後に伸ばすほど増額されます。
これは、65才を起点としています。
65才でもらえる月額が6万6250円。
その前にもらうと、1ヵ月早めるごとに、0.4%ずつ減額されます。
例えば、64才でもらうとなると
0.4%×12か月=4.8%の減額です。
逆に、遅くもらえば、1ヵ月遅くするごとに0.7%増額されることになっています。
もらえる額の1年間の総額は
60才でもらえば 60万4200円/年
65才でもらえば 79万5000円/年
70才でもらえば 112万8900円/年
75才でもらえば 146万2800円/年
となります。
もらえる総額は?
死ぬまでにもらう総額はいくらなのかも、気になります。
このように、80才を過ぎたあたりで70才でもらい始めた人が巻き返しを図り、その前にもらい始めた人を追い抜いていきます。
75才でもらい始めた人は、月に12万円以上もらえますが、70才でもらう人を最終的に追い越すには、90才より長生きする必要があるということになります。
まあ、総額で考える意味があるのかどうかは別として。
繰り下げみなし増額制度とは
90才まで元気に長生きできそうだから、75才でもらい始めよう
と思っていても、先のことはわからない。
予想外にお金が必要になってしまうかもしれません。
こんな時は、繰り下げみなし増額制度が使えます。
この制度ができて、
75才でもらい始めようと思って年金をもらっていなかった人が、72才になった時に「もっと早くもらえば良かった」と考え直した時に、5年間さかのぼって請求することができます。
72才の時に5年前にさかのぼると67才。
「最初から67才で年金をもらい始めることにしてました。」
とみなして、67歳時点でもらい始めた時の月額×5年分を一括で受け取ることができます。
そのあとも、67才でもらえる月額をもらい続けることになりますので、もらう時期を遅くしたせいで「必要な時にお金がない」という心配は解消されます。
特別支給の老齢厚生年金とは
それにしても、年金は60才からもらえるものだと思っていたのに。
今では65才から開始が基本。
60才だと減額されてしまうなんて。
と思いますよね。
そんな記憶がある人で厚生年金を払った人は、厚生年金の年金受給年齢の引き上げの移行措置に当てはまっているかもしれません。
年金の受給年齢が引き上げられたとき、厚生年金の支給は段階的に引き上げられる措置が取られることになりました。
対象の人は65才になる前に受け取る年金があります。
対象者は、この2つの条件のどちらにも当てはまる人です。
1.国民年金に10年以上加入し、厚生年金に1年以上加入歴がある人
2.男性は1961年4月1日以前に生まれた人
女性は1966年4月1日以前に生まれた人
上の条件に当てはまれば、厚生年金をもらう手続きをする必要があります。
支給開始年齢から5年以内に手続きをしないと、権利は消滅してしまいます。
手続きは、年金事務所で行うことができます。
詳しくはこちらでご確認ください。→国民年金基金HP