雇用調整助成金とは?従業員を解雇しないでコロナを乗り切る方法がこれでわかる!
主な支援策として、
- 事業の継続を支えて再起のために使える「持続化給付金」
- 家賃や地代を払っていかなければならない事業所の救済策として打ち出された「家賃支援給付金」
- 従業員への休業手当を支援する「雇用調整助成金」
があります。
こうした支援策は、コロナのために急に出てきたものではなく、以前からあった中小企業への支援を、今回のコロナ対応として手続きを簡単にしたり、支援額を多くしたりして「緊急対応型」と改めたものです。
2020年10月7日に出された来年度予算概算要求105兆円で、厚生労働省はコロナ関係予算として金額を定めないで要求しています。そのため、来年度もこの「緊急対応型」は続くと見られています。
今まで申請をしていなかった経営者の方も、まだ間に合います。支援策をしっかり理解して、経営に生かしていきたいところです。
今回は、この支援策の中でも、従業員を解雇しないでコロナを乗り切るための「雇用調整助成金」のお話です。
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雇用調整助成金とは?
厚生労働省のHPでは、
雇用調整助成金は、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主であって、労働者の雇用を維持する取組み(雇用調整)をしたものに、労働者に支払った休業手当に対する助成や、援助を行うものです。
と説明されています。
つまり雇用調整助成金は、
- 経営状態が悪化している(売り上げが下がっている)
- 休業中の社員に休業手当を支給している
雇用調整助成金の助成額
社員に休業手当を支払っている場合、いくら助成されるのでしょうか?
従業員の4/5を継続して雇用した場合、休業手当の10/10が支給されます(上限1人1日15,000まで)。つまり、従業員5人のうち4人を継続して雇用していると、その人たちに支給した休業手当が一人15,000円を上限として全額支給されるということです。
さらに休業中に今後に役立つ教育訓練を行った場合には、上限1日2,400円までが加算されるというメリットもあります。
雇用調整助成金の申請方法
雇用調整助成金の申請方法は下記のとおりです。
対応窓口
都道府県労働局または最寄りのハローワーク
対象事業所
令和2年1月24日以降に従業員を休業させて、休業した従業員に休日手当を支払った事業所が対象となります。
※2020年10月20日現在
雇用調整助成金の要件
要件としては、「1.経営状態が悪化している」こと。
具体的には、「昨年より5%以上業績悪化している企業」ということになります。
もう一つの要件は、「2.休業中の社員に休業手当を支給している」こと。
この「社員」というのは、雇用保険に加入していてもいなくても大丈夫。(後半にリンクを張りましたが、申請フォームは違うので注意が必要です。)また、「休業」といっても、会社は閉めてなくても大丈夫です。
私が訪問した企業さんでも、「注文が激減したので、今までは9時から5時まで働いてもらったパートさんに、午前中だけ出勤してもらっている。」というところや、「今までは社員30人全員出勤してもらっていたんだけど、10人ずつローテーションを組んで、お休みしてもらっている。」というところもありました。
まるっと一日休まなくても、一斉にお休みしなくても、従業員が休業し、その時間に休業手当を出していれば、助成金給付の対象となります。
でも、「会社は休業なんだけど、従業員さんには来てもらって事務作業の整理をしてもらっている。」などという場合は、普通に仕事をしてもらっているため、「休業手当を出している」ということにはなりません。在宅勤務もしかり。こんな場合は持続化給付金などで対応してください。
教育訓練への援助って?
「休業している間、今後のためにしっかり自己研鑽してもらおう」などという場合は「教育訓練を行った」として、助成金が上限1日2,400円加算される可能性があります。外部の集合研修でなくても、自宅でインターネットを使った研修、企業内での訓練なども対象です。詳しくは、下記に経済産業省のHPを抜粋したものを載せましたので確認してください。
新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、3 密状態を避けることが求められており、教育訓練を事業所内や外部の教育機関に集合して行うなどの通常の形態で実施することが困難な状況に鑑み、以下のような訓練内容のものを対象にすることとしました。
- 自宅等で行う学習形態(インターネット等を用いたものも可能)の教育訓練
- 接遇・マナー研修、パワハラ・セクハラ研修、メンタルヘルス研修などの職業、職務の種類を問わず、一定の知識・ノウハウを身につける教育訓練
- 繰り返しの教育訓練が必要なもので、過去に行った教育訓練を同一の労働者に実施する場合(ただし、一の支給対象期間(※)内における再訓練は認めない)
- 自宅等で実施するなど教育訓練を通常と異なる形態で実施する場合に、その企業において通常の教育カリキュラムに位置づけられている初任者研修等の教育訓練
- 自宅等でインターネット等を用いた双方向での訓練を実施するなど教育訓練を通常と異なる形態で実施する場合に、社内において教育的立場にあり、一定程度の知識、実務経験を有する自社職員を指導員とする教育訓練
(※)支給対象期間
賃金締切期間(「判定基礎期間」という。)を単位とし、事業主が個々の計画届等の手続き時に設定する最長3か月までの期間
経済産業省HP「雇用調整助成金FAQについて」抜粋
そのほか間違いやすいポイント
よくある間違いをQ&Aとしてあげましたので、ご確認ください。
Q1.いままで、日額12,000円を支払っていた従業員に助成金の上限である休業手当を15,000円支払うことにしたから、満額もらえますね?
→A1.今まで支払っていた12,000円を賃金として企業で設定した休業手当の割合で助成金を計算します。
Q2.従業員のMさんがコロナで陽性になっちゃいました!ほかの従業員も休んでもらわないといけないけど、助成対象ですか?
→A2.Mさんは助成対象ではありません。ほかの従業員の方は助成対象です。Mさんには、健康保険制度から傷病手当金が支給されます。
Q3.雇用調整助成金を以前もらったことがあり、それから3か月しか経過していないから、対象外ですか?
→A3.通常は1年経過しないと再度受給することはできませんが、今回の「緊急対応型」は、別のものとして対象期間内(令和2年1月24日から12月31日まで)の休業に対する休業手当は、支給対象になります。
詳しくは、最寄りのハローワークにお尋ねください。
申請フォーム
下記が、申請の説明URLです。従業員が雇用保険に加入しているかどうか、教育訓練を受けさせたかどうかによって書式が違いますので、注意してください。
必要な書類を準備してハローワークに持参して下さい。インターネットのフォームだと、自動計算してくれるので便利です。
- 従業員が雇用保険に加入 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000639652.pdf
- 従業員が雇用保険に加入していない https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000639657.pdf
- 従業員が休業している期間、教育訓練を受けさせた(雇用保険に加入&加入以外) https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000639662.pdf
以上は企業が休業手当を支払った場合のお話ですが、企業が支払ってくれないとき、労働者が直接申請できる「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」制度があります。
このブログをご覧の方であてはまる方がいれば、申請してもらってもいいかもしれません。
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金
条件:令和2年4月1日から12月31日までの間に、中小企業で働き、事業主の指示で休業したのに休業手当を受けることができない労働者
申請方法:労働者自身が、厚生労働省の担当窓口に書類を郵送 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000676013.pdf
ピンチをチャンスに変える「雇用調整助成金」、そして「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」で、厳しい期間を充電期間にあてて、体質強化を図りましょう。